かつて製材価格の約3割が立木価格だったが、今や1割以下である。コロナ禍の最中にウッドショックがあり、木材価格が急騰した時期でも、上がったのは製材品の価格であり、立木価格にほとんど反映されなかった。一方で、人件費や機材費などコストはみんな上がっている。
数十年かけて育てた木材を収穫しても、利益は少ない、もしくは赤字になりかねないのだ。それなのに再造林しようとすると、そのわずかな利益を食い潰すか、持ち出しになってしまう。
これでは林業家もやる気を失うだろう。
厳しいコストと人材
立木価格の決め方も不思議だ。簡単に言えば木材市場の取引価格から市場に出すまでのコストを引いたものであり、そこに植林や育林の費用は含まれない。
通常、商品の価格決定は製造コストを基礎とするが、木材は流通コストだけしか計上しないのである。仮にそれらの費用を計算しようとしても、植えたり、下草刈りしたり、間伐したり……といった作業は、ざっと50年くらい前に行っているので算定しづらいという問題もある。
それでも取引価格が上がればよいのだが、建築業界などは、いかに材料費を切り詰めるか汲々としている。加えて政府の木材増産政策で、需要以上の木材を供給されているから、市場でだぶついてしまい、入札などの価格を下げてしまう。林野庁は、「需要に応じた生産」ではなく、「増産してから使い道を探す」構えなのである。
とまあ、林業家にとって悪条件ばかりが重なっているのだが、付け加えておくと、造林費用を補う補助金がある。国だけでなく、都道府県、市町村からも出ることが多い。
植林費用の8~9割は、補助金で賄われているのだ。林業家は残る1~2割の支払いを渋っている状態であることも知っておきたい。
もう一つの論点として、造林を支える人材が少なくなっていることも重要だろう。林業従事者は、全国で4万人程度まで減少した。圧倒的な人手不足だ。
しかも伐採を請け負う森林組合や林業会社は多いものの、造林を担当する業者は少ない。なぜなら伐採は、機械化が進んでいるため一定の利益が見込めるが、造林は機械化されていない。自らの足で山に登り、一本一本苗を植えていかねばならない。
また獣害が蔓延しているので、シカなどの防護柵を築く必要もある。炎天下で行う下草刈りも、超絶キツい。
そんなわけで人気が低く、また利益も補助金のみに頼ると大きくない。敬遠されがちなため、人手不足に輪をかけてしまうのだ。
