業界内で動き出した対策
さすがにこのままではマズいという声も広がっている。なんとか再造林を推進しようと業界関係者も動き始めた。自治体は条例で推進を定め、補助率をアップするところもある。民間にも造林専門の林業会社が登場してきた。あえて植え付けと下草刈りなど育林作業を専門に請け負うのである。
また再造林費用が林業家の手に渡るような仕組みづくりも行われている。
大分県の佐伯広域森林組合は製材部門を持つが、その製材を買い取る木材会社などと再造林型木材取引協定を結んだ。確実に再造林することを条件に買取価格を引き上げたのである。
製材は厚さ2インチ・幅4インチのツーバイフォー(2×4)材だが、年間1万立方メートル以上を安定して供給することを前提に価格を上げる契約を結んだ。これで森林組合が担当する地域で再造林100%を目指している。
2024年12月に「立木取引システム」が立ち上がり、ウェブ上に立木市場が開設された。運営は林業機械化協会と国産材を活用し日本の森林を守る運動推進協議会。
これは森林所有者など売却側が森林面積や立木の樹種、在籍、本数、平均樹高などの情報と販売希望価格を提示するが、再造林コストを上乗せした価格になっている。それを元に入札が行われる。落札すると、支払われた買取価格のうち再造林費用相当額はサイトの信託口座に振り分けられて、再造林完了後に確認して支払われる。
これは売り手と買い手が林業の将来を考えた上で行うフェアトレードのようなものだろう。ただし、売却側が十分な情報を提供できるか、高く買い取ることを良しとする業者がどれだけいるのか、という点をクリアにする必要がある。まだ市場は立ち上がったばかりで、どの程度の取引が成立するか見通せない。
また法的な問題をクリアする体制として、奈良県は奈良県フォレスターを設けた。これは県が林業を専門とする職員を養成(奈良県フォレスターアカデミーで2年間学ぶ)して市町村に派遣し、森林管理の仕事を請け負うものである。
その業務の中に伐採届の現場確認もある。必ず届け出のあった林地を事前に確認し、また伐採後に造林したかどうかも足を運んで確認する。天然更新で届けられた場合も、5年後にちゃんと成立しているかどうか確認する。
この職務は原則異動がないから、5年後でも同一担当者なのだ。これで違法行為を極めてしづらくした。
いずれの方策も、まだ動き始めたばかりである。これで伐採跡地の問題が完全に解消するかどうかはわからない。
しかし「伐ったら植える」は、日本林業の大前提だ。本気で持続的な林業の振興、そして地球環境について考えるなら先送りできない課題である。
