自治体にとっても難しい管理
しかし、再造林は義務である。
林地を皆伐すると、森林へ戻すことは法律で決められている。伐採届を提出する際に、跡地の扱いを記載する項目があり、通常は造林すると記さねば通らない。
ただ抜け道がある。それは「天然更新」という方法も認められていることだ。植えずに放置して木が生えてくることを期待する方法だ。
人工林を天然林に戻すことになるが、それでも良いのなら認められている。ただし天然更新方式を選択した場合、市町村は5年後に伐採跡地に森林が再生しているのか状況を確認する必要があり、もし樹木が育っていなければ植栽指導を行うことになっている。
現実は、放置して上手く森に戻ることは少ない。雑草に覆われたままの場合が多い。仮に雑木が生えてそれなりに育つ場合も、木材の生産にはつながらないだろう。そして問題なのは、5年後に自治体によって現場を確認されることがほとんどないことだ。
伐採届を受理した担当者は、5年の間にたいてい異動している。市町村の人事は、5年以内に部署を移るのが慣例だからだ。
新たな担当者に情報の引き継ぎが十分行われず、また現場まで出かけて確認するのは仕事を増やすだけになるから、放置しがちだ。そもそも市町村の林業担当者で、林業の専門知識を持つ人は稀だろう。何でも屋として幅広い業務を担当することを前提に異動してくるのだ。
結果的に担当者の多くは、現地に足を運ばず、出された書類を確認するだけである。だから「跡地に植え付けました」と届けられると信じるしかない。
筆者は、林道・作業道を歩いて伐採跡地を見て回ったことがあるが、道沿いにはしっかり植えられているものの、奥の方は植えられているのかどうか怪しく見えたこともある。とはいえ、急斜面の造林地に分け入って、規定どおりの本数を植えられたのかどうか確認するのは極めて困難だ。
加えて、ちゃんと苗を植えても、シカやウサギなどの食害に遇うことも多い。柵をしても、どこからか造林地に侵入して荒らすことは珍しくないのである。
さまざまな条件が重なって、伐採跡地に次世代の森林が育つ可能性は低くなっている。林業地には広大なはげ山が広がっている所が目立ちだした。
