ベトナムの新たな指導部体制は、同国がイラン戦争の影響を受け始めている中で誕生した。第1四半期の経済成長率は7.8%であった。それは、前の四半期の8.4%、ベトナム政府が今年の目標として掲げている10%成長を下回った。
ベトナムは原油輸入を中東に大きく依存しているが、戦争により供給が途絶えている。同国は一連のエネルギー配給措置を講じ、燃料価格を補助するために緊急基金を充当した。
なお、トー・ラム氏の前任である故グエン・フー・チョン氏は党書記長を務めていた18年、当時のクアン国家主席が死去し、その後、国家主席職も兼任していた。
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最重要課題
4月6日、ベトナムの国会が開会し、7日に新たな国家主席、首相、国会議長の人事(任期5年)が承認された。集団指導体制をとるベトナムでは、これまで一時的措置として書記長と国家主席を兼任することはあったが、任期を通じての兼任は、異例人事である。
その背景は、ラム氏自身が国家主席として対外的に「ベトナム代表の顔」を担うことに強い関心があったからである。国家主席は、国軍最高司令官の役割をも担う。
新首相のレン・ミン・フン氏は中央銀行総裁経験者である。日本に留学経験があり、直近まで越日議員連盟会長も務めていた知日派である。なお、マン国会議長とトゥ書記局常務は再任であった。
ベトナムの一部には、公安出身の書記長・国家主席の下、権力が集中し、集団指導体制が揺らぐ可能性があるとの指摘もある。
内政・経済面の課題として、ラム氏は、一昨年7月に書記長に就任後、予算の効率的活用や行政手続きの簡素化を念頭に、省庁や省市の歴史的大変革を実施し、45年までに先進国入りすると宣言している。先進国に向けて必要な改革と思われるが、強引な改革は現場の混乱を生み、何千人もの人が職を失ったことに加え、行政手続きの一層の遅延等が生じている。
