人材育成も加速する。11月19日から21日に開催された国防AI競技大会では初めて「軍民混合チーム制」が導入され、7773人が参加した。最優秀賞チームは陸軍兵士、士官候補生、民間企業技術者の組み合わせだった。また海軍は25日、海軍軍需司令部と漢南大学校が軍需データ発展セミナーを開催し、艦艇故障予測など、AIによる軍需支援の高度化を議論した。
10月21日の記事「李在明政権初の国政監査始まる!非常戒厳宣布を経た韓国軍はどうかわるのか?」で紹介した非武装地帯のAI化計画は、この戦略の一部に過ぎない。少子化による兵員減少と北朝鮮の脅威という二重の課題に直面する韓国は、AI活用を生き残りの条件と位置づけている。
自衛隊が丸々なくなるほどの兵力減少
ヘッドラインではないが、25日紙面にチェ・ジェンホ成均館大学機械工学部教授のコラム「韓国軍の危機 兵力削減と幹部離脱」が掲載された。韓国軍の幹部とは、将校と下士官を指すので注意が必要だ。
日本でも先に閣議決定された25年度の補正予算で、自衛隊の少子化対策が打ち出されたばかり。小泉進次郎防衛大臣は自身のXで、「若い隊員はもちろん、部隊の中核を担っている世代についても年収を20万円程度引き上げ、全ての自衛官の給与が過去最高額となることを目指します」と表明し、隊舎(注:自衛隊法により駐屯地や基地内での居住が義務付けられた若年隊員の寮)居室が個室化する写真を投稿した。
翻って韓国はどうだろうか。これまで本連載でも韓国軍の少子化対策を紹介してきた。
チェ教授によれば、韓国軍は最近6年間で常備兵力が11万人減って45万人になり、17個の師団級以上の部隊が解体・統合されたという。海上・航空自衛隊の定員はあわせて10万人強、陸上自衛隊の基幹部隊は15師・旅団だから、その規模の大きさが分かる。国防部は国防に必要な最低兵力を50万人としているが、世界最悪の少子化スピードを止めることはできない。
また社会構造の変化を受けた将校・下士官の希望転役(注:中途退職)も深刻で、25年上半期の申請者数は全軍で2869人に及ぶ。チェ教授は尹錫悦前大統領の非常戒厳宣布と李在明大統領の“粛軍”による軍の位相低下や低い賃金が原因と分析している。
