2025年4月18日(金)

Wedge REPORT

2025年4月14日

 落葉を嫌うほか見通しが悪くなるという苦情があるため、枝葉を全部落として電柱のようになってしまった街路樹も見かける。街路樹の伐採に反対する人は目立つが、実は地元住民の苦情によって伐採するケースも少なくないのだ。

枝も葉もない街路樹

良いことばかりではない

 ここで街路樹のメリット、デメリットを整理しておこう。

 メリットは、まず景観の形成だろう。コンクリートが目立つ町並みに緑の空間があることは街並みに彩りをもたらし、人々に安らぎや憩いを与える。夏の日差しを遮ったり、騒音を和らげたりもする。また自動車と歩行者を分離する、運転者に道路のカーブを把握させる、火災の広がりを防ぐ……などの効果も見込まれる。

 そして自然環境にも寄与する。昆虫や鳥など動物に生活の場を提供して生物多様性を増やし、二酸化炭素の吸収や窒素酸化物など大気汚染物質の吸着も行う。それによって都市のヒートアイランド現象の抑制につながる……。こんなところだろうか。

 一方でデメリットもいろいろある。大木になりすぎたら強風などによる倒木の可能性が増すうえに、落葉や落枝、そして根上がりが増える。それが車両や歩行者などに直接的な被害をもたらすほか、標識・看板を遮り街路灯も遮光する。毒を持つ害虫の大発生やギンナンのような果実の落下が道を汚し悪臭につながることもある。

イチョウの街路樹は落葉が多く処理が大変

 また根が排水管など地下の埋設物を傷めたり、工事の支障になる。伸びた枝が電線に絡むことで事故の発生が起きる。

 そうした被害を防ぐための剪定などの管理や落葉の除去コストも馬鹿にならない。それらは税金で行うのだから、行政の負担は増していく。


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