2025年12月5日(金)

「最後の暗黒大陸」物流の〝今〟

2025年9月19日

 前回の「『物流2024年問題』は物流コストにどんな影響を与えたのか?物価上昇と比較して見えてくる“現実”、価格転嫁はできているのか」において筆者は、「物流2024年問題」におけるトラック運賃の値上りトレンドは貨物である「財」(モノ)の値上りトレンドよりもはるかに緩やかであり、運行コストの値上り分を価格転嫁できているかさえも疑問であると結論づけた。

 そこで24年4月から1年半が経過しようとしている今回は、「物流2024年問題」をさらに深掘りし、その本質と将来について占ってみたい。

噴火の兆しが見える「物流2024年問題」のマグマ

 「運べなくなるリスク」が危惧された「物流2024年問題」だが、24年4月に入っても、それから1年経過した25年4月をむかえても、そのリスクが大きくは顕在化しなかった。そのことを以て、「物流2024年問題」は「大山鳴動して鼠一匹」という結果に終わったという見方には与できない。

 表1は、前回もトラック運賃の動向に関して紹介したNX総合研究所の「企業物流短期動向調査」の“物流の2024年問題に関する追加調査”の結果の一部を示したものである。本年3月と6月の2回にわたって実施された結果を対比している。

 荷主事業所の70%近くが「物流2024年問題」の影響があると答え、65%前後がトラック輸送力の確保は厳しいと答えた。運賃については、3月には90%近く、6月になっても半分以上が高くなったと答え、そして「物流2024年問題」について3月には60%以上、6月になっても半分以上が厳しくなると予測している。

 「物流2024年問題」は杞憂に終わったのではなく、噴火に至らなかっただけで、溜まりに溜まったマグマが地表近くまで押し寄せていることを示唆している。


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