2026年2月19日(木)

Wedge REPORT

2026年2月19日

 アジアのダボス会議を目指すという壮大な構想のもと、3年前に始まった「ニセコ会議」は、日本の中堅上場企業を中心とする約100人の経営者が合宿形式で北海道のニセコに集う、きわめて濃度の高い対話の場である。参加者の多くはオーナー系・創業経営者であり、30代の若手から70歳近いベテランまで年齢層も幅広い。いずれも自ら意思決定を行い、その結果としてのリスクを引き受けてきた当事者であるという点で、この会議は単なる勉強会ではなく、「実践知がぶつかり合う場」と言ってよい。

 筆者は昨年に続き今年もこの会議に参加し、WEF(世界経済フォーラム)の Future of Jobs レポートや、日本の有力企業トップ100人超へのインタビューをもとにまとめた「ジャパン・ウェイ」のエッセンスを紹介した。議論はAI時代のビジネス展開、リーダーシップと後継者育成、新事業創出、グローバル化、M&AとPMI(買収後の統合作業)など多岐にわたった。2日目にはニセコ町の前町長および昨年末に就任した現町長による講演も行われ、地域経営の未来像についても意見が交わされた。

(paylessimages/gettyimages)

 公式セッションも学びが多かったのだが、その前後等でのインフォーマルな会話、時には温泉につかりながらの多様な話題から毎回のように行き着くのが「人材」と「教育」の問題であった点は、非常に示唆的と感じた。多くの経営者は、現行の教育制度や学習指導要領に精通しているわけではないが、自分の子供を通じて意外と学校教育の現状を知っていた。そして、筆者が感じたのは経営者たちの小中高における次世代の若者・子どもの教育について、「このままでは自社の未来を託せる人材が育たないのではないか」という切実な問題意識である。

プログラミング教育という象徴的事例

 その問題意識を象徴的に示していたのが、プログラミング教育をめぐる議論である。2020年から22年にかけて段階的に導入されたこの教育は、皮肉にも生成AIの急速な進展によって、26年には初級プログラマー的な仕事そのものが急速に縮小する局面に直面している。

 経営者の多くは、プログラミング的な論理思考や構造化能力の重要性自体を否定していない。むしろ強く肯定している。しかし同時に、それを特定の言語やコード記述技能として教え続けることの妥当性には、明確な疑問が呈された。

 重要なのは「どう書くか」ではなく、「何を問題として定義し、どのような構造で解くか」であり、それは本来、仮説思考や設計思考として抽象化されるべきではないか、という問いである。


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