2026年1月16日(金)

「最後の暗黒大陸」物流の〝今〟

2026年1月16日

 船社の寄港地選定は、基本的に「貨物量×運賃単価×定時性の確保」のシンプルな論理に基づく。「慢性的な遅延リスクを負って、船を寄港させる合理性があるのか」という問いに対し日本は厳しい問いを突きつけられている。

 次に1990年と2023年における、世界のコンテナ港湾取扱量ランキングの推移である。

(出所)国土交通省港湾局資料(釜山港はBPA、京浜・阪神港は2021年港湾統計および港湾管理者調べ)を基にShippio作成

 1990年当時、世界ランキングのトップ20には、神戸(5位)、横浜(11位)、東京(13位)と日本の3港が名を連ねていた。神戸港は釜山港(6位)を上回る取扱量を誇り、日本は名実ともに「アジアのハブ」として国際海運ネットワークの中核を担っていたのだ。 

 しかし30年余りを経た2023年、その景色は一変する。 ランキングの上位は上海をはじめとする中国勢とシンガポールが独占し、かつて競り合っていた釜山港は世界7位の位置を得ている。

 一方で、日本の港湾はトップ20から完全に姿を消した。国内首位の東京港ですら世界46位に低迷し、かつて世界5位だった神戸港は72位まで後退している。

韓国が実施した「港湾の選択と集中」

 さらに日本全国の港湾コンテナ取扱量を合計しても、23年時点で約2176万TEU(20フィートコンテナ換算)に留まるのに対し、釜山港は単体で約2315万TEUを記録している。日本の港すべてを束にしても、隣国の「一つの港」に及ばない。

 この差を生んだ最大の要因は、国家戦略の違いである。韓国政府は1990年代初頭から「港湾の選択と集中」を明確に掲げた。

 「釜山をアジアのハブ港にする。他の港はあくまで補完的な役割」と明確に定義し、政府、港湾運営会社、船社、さらには労働組合までを含めた官民一体の体制のもとで、インフラ投資や航路誘致、人材・労務体制の整備といったリソースを、徹底的に釜山へ集中投下してきたのである。

 その結果、釜山港は単なる韓国の輸出入拠点にとどまらず、第三国貨物を積み替える「トランシップ(積み替え)拠点」としてはシンガポールに次ぐ、世界第2位の地位を確立した。

 以下の図が示す通り、釜山港では取扱貨物の過半数がトランシップ貨物で占められており、これは京浜港や阪神港と比べて圧倒的に高い比率である。大量の中継貨物が集まることで航路は維持・拡充され、さらに貨物が集まるという正の循環が形成された。

(出所)国土交通省港湾局資料(釜山港はBPA、京浜・阪神港は2021年港湾統計および港湾管理者調べ)を基にShippio作成

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