2026年1月10日(土)

プーチンのロシア

2026年1月8日

 公的な徴兵の拡大は、社会的意識が高いモスクワなどの大都市の市民からの激しい反発を招くのは必至で、プーチン政権の基盤を揺るがせかねない。

 ただ、冒頭のプーチン氏の発言は、事態のさらなる悪化を国民に強いる可能性を示唆しているかもしれない。

経済は減速

 ロシアは経済も好ましい状況にはおかれていない。ロシアは武器生産の急拡大や中国、インドなどへの原油輸出増などで欧米の制裁下でも経済を拡大してきたが、労働力不足やインフレ、主力輸出品の原油価格の低下などを背景に、その勢いは失われている。

 ブルームバーグによれば、25年は小幅なプラス成長が見込まれるものの、国内の半分以上の業界で生産は縮小している。リセッション(景気後退)に陥りつつある。

 また、主力輸出品である石油・ガスによる収入は1~10月に2割超減少した。これは原油価格の低下や通貨ルーブルの上昇が背景にある。米国は10月にはロシア石油大手のロスネフチ、ルクオイルの2社を制裁の対象に加え、ロシアの燃料出荷量は11月前半、22年の侵攻開始以降で最低の水準に陥った。

厳しい状況を盛り返すウクライナ

 ロシア軍の猛攻に4年にわたりさらされているウクライナの人的、物質的損害は比較にならないほど厳しい。ただ人海戦術に頼らず、欧米から支援された武器で戦うウクライナ軍の死者数は14万人ほどと推計されており、事実であればロシア軍の半数程度でとどまっている可能性がある。

 経済面においては、主要産業地域であった東部の多くを占領され、主要貿易ルートである黒海へのアクセスも著しく制限されるなど、経済構造は戦前の状態に戻る可能性はほぼないのが実情だ。都市への攻撃が続くなか、民間人の犠牲者も増え続けている。

 ただ、そのような中でウクライナ経済は23、24年と2年連続のプラス成長を記録した。さらに戦後復興需要は10年間で5240億ドル(約80兆円)規模と巨額にのぼると推定されていて、すでに日本を含む各国が支援の本格化に向けた動きをみせている。

 「ビルド・バック・ベター(より良い復興)」を掲げるウクライナの復興は、新たなインフラ需要を生み出すことになるため、各国企業は新たなビジネスチャンスとしてウクライナに注目している。日本も25年には官民ミッションを派遣した。

 ゼレンスキー政権は25年、原子力分野などをめぐる汚職疑惑で政権中枢幹部らが相次ぎ辞職するなど危機的状況に陥ったが、イエルマーク大統領府長官ら国民に不人気な政治家らが辞任したことで、むしろ政権の支持率が上がるという現象が起きている。停戦交渉に向けて大統領選実施を約束するなど、ゼレンスキー政権の動きは早く、火消しに成功した格好だ。


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