2026年1月16日(金)

プーチンのロシア

2026年1月16日

 足元のロシア経済の減速は明らかであるが、その一方で、ロシア中銀のナビウリナ総裁やシルアノフ財務大臣といった金融・財政テクノクラートがよく機能し、ウクライナ侵攻後もロシアは、経済の耐久力を確保するための「バッファー」を整備している。

「友好国」と巧みに経済関係を強化

 二つ目は、プーチン政権が「友好国」とカテゴリする国々との経済取引だ。石油ガスはロシアの歳入全体の約23%を占めるが、米国エネルギー調査会社Energy Intelligenceによれば、25年(通年)、ロシア産原油の約45~46%が中国、約35~36%がインドを輸出先としており、この2カ国で80%以上を構成する。

 25年10月にトランプ政権がロシアの最大手石油企業ロスネフチ、同2位ルクオイルを制裁対象(SDN(Specially Designated Nationals and Blocked Persons List)指定)としたため、これら企業との直接取引を中国やインドは段階的に縮小あるいは停止したが、ロスネフチやルクオイル以外のロシア企業や多数の中間業者(Tatneft、RusExport、Redwood Global等)を介し、ロシア産原油の輸入は継続されている。中国については、ロシア東シベリアから太平洋沿岸コズミノ港まで原油を輸送するESPO(東シベリア・太平洋)パイプラインを通じて、ロシアの石油生産者を特定しない形で輸入することも可能だ。また、25年12月4~5日、プーチン大統領は、インドを公式訪問し、モディ首相へ「ロシアのインド向け燃料供給は途切れない」とエネルギー取引の継続をアピールした。

 中国やインド以外の国々ともロシアは巧みに経済関係を強化している。ロシアとカザフスタンを中核とする旧ソ連で構成する加盟国間の自由貿易を促進する経済枠組みユーラシア経済連合(EAEU)を介して、ロシアは25年12月、インドネシアと自由貿易協定(FTA)を締結。25年にEAEUはアラブ首長国連邦(UAE)との経済連携協定(EPA)、イランとのFTAを発効させている。モンゴルとのFTAも交渉中だ。

 ロシアは、欧米以外の国々とのFTAに加え、ドル、ユーロ以外の通貨での決済を推進。例えば、25年1~10月、ロシアの貿易全体において、中国の占める割合は約34%とされるが、このロシアと中国間における貿易決済の99.1%が、ルーブル建てあるいは人民元建てだ。ロシア財務省は25年12月、初の人民元建て国内債(政府保証債、期間3年および7年)も発行している。

ロシア「友好国」は144カ国

 ロシアは制裁を科す欧米諸国49カ国を「非友好国」と位置づけ、貿易を縮小させている。他方、ロシアが「友好国・中立国」と位置付ける国々は国連加盟国193カ国中、4分の3に相当する144カ国存在する。

 外貨準備高や国民社会福祉基金といったストックベースの経済指標を要塞のように固めながら、「友好国・中立国」との経済取引を拡充していく――。これが現下ロシアの「延命」戦略といえよう。

※本文内容は筆者の私見に基づくものであり、所属組織の見解を示すものではありません。

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