外需も冴えない。貿易収支は黒字を維持しているが、制裁と中国を含むアジアの需要停滞により輸出額が縮小している。25年1~9月、欧州向け輸出はマイナス15.7%となった。
言うなれば、軍需頼みの経済構造は限界を露呈し、ロシア経済は息切れ状態にある。このような状況下、ロシアの継戦能力の残存期間はどれほどなのだろうか。
それでも「戦争継続は可能」
結論を先取りして言えば、意外にも「戦線拡大は困難」だが、「要塞経済(Fortress Economy)+アジア向けエネルギー輸出」で現行水準の戦争継続は短中期的に可能――という有識者の評価が浮かび上がる。
米国シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS) は、25年6月、ロシア軍の装備損耗・人的損耗は高水準で、攻勢速度は1日50メートル(m)程度という日もあり戦果は限定的、前線拡大の余力は乏しいとレポートしている。
その一方、独立系シンクタンクCarnegie Russia Eurasia Centerの25年10月の論考は、現行水準の消耗戦(ロシアによる領土侵攻が年2〜3%の前進・限定的攻勢)であれば、2〜4年は維持可能と分析。さらに英国軍事シンクタンクRUSIのRichard Connolly上級研究員のように、ロシアの戦争基盤は揺るがず、現行水準の消耗戦なら長期持続が可能で、「半永久的な継戦」もあり得るとする識者も存在する。
経済が息絶え絶えになっても、ロシアの継戦能力が「延命」可能と評価されるのはなぜだろうか。主に二つの理由があげられる。
金融・財政テクノクラートが機能
一つ目は、核となる部分でのロシア経済の堅牢さだ。この点は、潤沢な外貨準備高や国民社会福祉基金(National Wealth Fund)、自国通貨ルーブルの安定した為替動向、対外債務の低さといった側面から説明される。
これを安保外交シンクタンクChatham House(英国王立国際問題研究所)は25年9月の論考にて、ロシアの「要塞経済」と呼称。実際、ロシア中銀のデータによると、外貨準備高はウクライナ侵攻後も、5986億ドル(23年末)、6091億ドル(24年末)、7346億ドル(25年11月末)と拡大しており、石油ガス収入を積立てする国民社会福祉基金も1695億ドル(25年11月末)と一時減少傾向にあったが持ち直してきている。
ルーブル相場は、25年を通じて安定的に推移し、むしろ過剰に評価されているという声が強い。対外債務の水準は、GDP比で約14%(25年第3四半期)と非常に健全だ。
