2025年10月27日付 ウォールストリート・ジャーナルは、「習近平はトランプを台湾でテストする」との社説を掲げ、米中首脳会談でトランプは台湾独立への反対を明言することを求める習近平の要求に応じるべきではない、と主張している。
トランプと習は韓国で会談する。メディアの関心のほとんどは貿易だが、習近平には他の議題がある。それは、トランプを言いくるめて、台湾の民主主義に対する米国の支持を弱めることだ。
ルビオ国務長官は、トランプ政権が台湾を見捨てる見返りに貿易で有利な扱いを求めるようなことは誰も考えていない、と発言した。それは良いことだ。
習近平の要求は米国が公式に台湾独立への反対を表明することだ。この点につき現在の米国の政策は意識的に曖昧さを保っている。
米国の政策は、米国は一つの中国政策と台湾がその一部であるという中国の立場を「認識している」が、その政策を承認してはいない、というものだ。これは、些細な違いではない。習近平は、ウクライナに対するプーチンの立場と同様に、台湾は中国の一地方に過ぎないので、同地の2300万人の一度も中国共産党に支配されたことの無い自由な人民を統治することができる、という話に世界を従わせようとしている。
米国は、危機に際して台湾を防衛するかについての政策を明確化する必要は無い。しかし、独立に関して習近平に譲歩すれば、トランプの目標に照らして自滅を意味する。
トランプは台湾が自衛のための支出を増やすことを希望している。しかし、習近平の見方を認めれば、それは台湾人民のモラルを下げ、自己防衛の努力は無駄だと言っているに等しい。
中国は、正に台湾がそのような結論に至ることを期待している。それは、米国の軍事力が過去10年で最低の状況にある中で、実際上抑止を弱体化させる効果を持つ。それは、米国の弱さを示すことになり、紛争を招く。
1979年の台湾関係法は、「ボイコットや禁輸を含む台湾の将来を決定しようとする平和的方法を除く如何なる行為も米国にとり重大な懸念である」と規定している。台湾海峡で恫喝を行っているのは中国側のみで、台湾ではない。
