ルビオの発言は、大統領がこのことを全て理解していることを示唆している。しかし、習近平と同じ部屋に居るトランプには何でも起こり得る。
台湾には、地政学から核心的価値まで全ての点で米国が関心を寄せている。台湾は、中国の野心に米国が対抗する上での安全保障上の外縁である第一列島線の一部である。
このことを世論に強調している政治家は少ない。しかし、トランプは、台湾を売り渡せという習近平の要求を拒絶することで、世界平和に大きな貢献をすることができる。
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首脳会談で台湾も議論か
米中首脳会談実施以前の社説だが、重要な問題を指摘している。米中首脳会談後、トランプ大統領は、「台湾問題は一切議論しなかった」と発言し、この懸念を増幅させた。
関税やレアアースの合意は複雑で、相当の時間を要したことは理解できる。また、大統領にとっては経済こそ米国内にアピールしたかった点であるので、特に台湾問題を議論する理由はない。しかし、習近平主席は、レアアースという伝家の宝刀を抜いた以上、それを矛に収める上で重要な議題を交渉に載せようとするだろうし、台湾がそこに入らないとは考えられない。
そもそも、事前にルビオ国務長官が、この記事にあるような発言をしなければならなかったこと自体、現状を如実に表している。①大統領自身が台湾の防衛を重視していないこと、②大統領にとって、習近平主席との間で「美しい」取引を作ることが最優先事項であること(そのためには、武器供与であろうが頼清徳総統の米国立ち寄りであろうが、中国が嫌がるような行動を取るつもりはない)、③従って、大統領が中国と取引するために、台湾を交渉の駒にする実際上の可能性と危険性があるというのが関係者の認識であること、が現状だろう。だからこそ、事前の観測を否定するために発言する必要があるとルビオ長官が考えたのだろう。
