2025年12月5日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年10月10日

 中国との貿易協定や習近平との首脳会談の実現を望むトランプ大統領は台湾への武器供与の承認を見送ったと、2025年9月19日付ワシントン・ポスト紙が報じている。

(TebNad/alexis84/gettyimages・ロイター/アフロ)

 中国との貿易協定や習近平との首脳会談の実現を望むトランプ大統領は、この夏、台湾への4億ドル超の軍事支援の承認を見送ったとされる。今後覆る可能性はあるものの、この決定は米国の台湾政策の逆行を示すと関係者は語る。今回の支援策には弾薬やドローンが含まれ、実現していれば、過去の支援策より致死性の高いものになっただろうと言われる。

 一方、この件に関し、台湾外務省は、台湾と米国は、「安全保障を含む種々の問題で緊密に協力している」、「米国は台湾の防衛力強化を長年支援してきた」、「地域の責任ある一員として台湾は自衛力を強化し、米国や他の友好的な同盟国と協力し、共に侵略を阻止し、地域の平和と安定を確保する決意である」とのみ述べた。

 中国軍が急速に軍備増強し、台湾周辺での軍事演習を拡大する中、米軍は長年、台湾の防衛に資源を投入してきた。米国の軍事・情報筋は、習は2027年までに台湾を占領できるよう軍に指示したとする。

 トランプ政権は、中国と広範な貿易協定を結ぶべく、高性能半導体への輸出規制を緩和し、TikTok禁止法の実施も先送りする等、中国との競争を抑えてきた。一部の第一次トランプ政権の閣僚や共和党議員は懸念を抱き、台湾への防衛支援についても不十分だと不安を表明する。

 台湾の軍事力を強化する最も手っ取り早い方法は、大統領引き出し権限によって米国の武器を直接台湾に送ることである。しかし、トランプは取引的外交政策を約束し、代価なしに武器を送ることをよしとしない。


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