2025年12月6日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年8月28日

 7月29日付けフィナンシャル・タイムズ紙は、「トランプは頼清徳のNY立ち寄りを止めた」との解説記事で、トランプ政権が米中関税交渉や首脳会談実現への悪影響を懸念し頼清徳のNY立寄り要請を断ったと報じている。概要は次の通り。

(ronniechua/gettyimages・Taiwan Presidential Office/AP/アフロ・dvids)

 トランプ政権は、中国の反対で頼台湾総統が中米訪問途上NYに立寄ることを拒否した。頼は台湾を国家と認める中米諸国の米国経由の歴訪を8月に計画していたが、米国は頼のNY立ち寄りを拒否した、と本件関係筋は言う。7月28日に台湾総統府は、現在台湾は台風被害回復途上で米国と関税交渉中なので近々の頼の外遊計画は無いと発表。

 関係筋が言うには、外遊中止決定はNY訪問不許可が伝えられた後になされた。この決定でトランプが米中首脳会談を進める中で対中スタンスを弱めているとの懸念がワシントンの台湾支持派に一層広まるだろう。中国は台湾指導者の訪米に反対だが、2023年にバイデン政権は当時の蔡英文総統のNY立寄りを許可した。

 関係筋によれば、頼は訪問中にヘリテージ財団でイベントをしようと計画していたほか、ダラス訪問も計画していた。米国が拒否したのはNY訪問のみか米国立寄り全体かは不明だ。

 米高官は、米台は状況改善を試みており、訪問が中止された事実は無い、と言っている。事実上の大使館である在米台北経済文化代表処は総統府声明に触れ、頼の近々の外遊計画は無いと応答した。ペロシ元下院議長は、頼総統のNY立寄り不許可決定は、台湾に関し米国は中国から脅されれば沈黙するとの危険なシグナルだ、と述べた。


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