2025年7月23日付ワシントン・ポスト紙は、「台湾海峡に平和を維持する戦略家の方策」と題するイグネイシャスの論説を掲げ、アスペン戦略グループ(ASG)の台湾を巡る米中戦争リスク回避の議論を紹介している。
紛争を避けるため、先週アスペンで台湾を巡る米中戦争リスクが議論された。会合は非常に生産的だった。
中国に対し「再保証と抑止」の組み合わせで臨むべきというのが結論だ。それは、米国の台湾独立反対を中国に再確認し、台湾を武力で支配する中国の試みを止めるためアジアで軍事力を強化することだ。
会合では現在の米中関係と第一次世界大戦時の英独衝突を比較した。独墺同盟は現在の中露関係に、英国と台頭するドイツの関係は現在の米中関係に似ている。
出席者は習近平が台湾支配を急いでいるとの見方で一致した。中国の対台威嚇は頼清徳就任後高まった。習近平の大胆さは、政治局常務委員で最高位の台湾専門家である王滬寧の再統一は「中止不能」で中国は分離主義を打ち砕くとの発言に表れている。習近平は軍に 2027 年までに戦争準備を終えるよう指示した。
共同議長でバイデン政権時の駐中大使のバーンズ曰く、最大の危機は侵攻ではなく封鎖等の非軍事的措置でもたらされる可能性が高い。その場合米国が緊張激化の引き金を引かされる可能性がある。
出席者はトランプ大統領の台湾政策が不明なことを懸念する。一部の出席者はトランプが習との取引で台湾を取引材料にする可能性を懸念した。
バーンズは、他の出席者と同様、台湾問題は大きな取引に馴染まず、中国を抑止し紛争を防止するため同盟国と協働して対応すべきと警告した。中国との取引に代わるのが「再保証と抑止」だ。
数名の出席者は、米国は頼清徳に独立不支持を明言し中国政府にも伝えることで現状維持を図るべきと主張した。出席者のほとんどは同盟国との軍事・経済関係強化で中国に攻撃を思い留まらせることを先好した。この点でもトランプの立場は不明だ。
ASG創設メンバーのハーバード大学アリソン教授はより難しいのは中国のグレーゾーン戦術の抑止だと強調した。最重要の脅威は侵攻ではなく食料他の輸入と半導体他の輸出を止めて台湾を窒息させる「防疫措置」だ。中国に全ての一方的措置への反対を伝えるのは有意義だが、過去と同じ警告に実体を持たせる為に米国も情報戦等グレーゾーンで中国と闘うべきと主張する向きもあった。
