台湾が重要なのは AI 覇権争いの基点だからだ。米中共に最新鋭半導体を製造する台湾積体電路製造(TSMC)が欲しい。第一次世界大戦でも必須資源取得を巡り戦争が発生した。
世界は既に多くの戦争に直面している。将来の紛争防止にはこれに正面から対処し戦争のコストを上げ平和を不可欠とする政策を企画すべきだ。トランプ政権には真剣に対台湾戦略を議論して欲しい。
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国際情勢における台湾有事
アスペン戦略グループが、台湾有事防止の方策について議論したようだ。以下、何点か指摘したい。
まず、王滬寧は中国政府最上位の台湾専門家ではない。王は先に台湾国民党訪中団に対し、この記事が指摘する発言をしたのは事実だが、そもそも王は台湾を所掌する如何なる立場にも就いておらず、過去の経験から言っても北朝鮮の専門家だ。
この論説からだけ判断すれば、米国側の議論は、地理的視野が狭窄だ。まず、最近の権威主義国枢軸の間の協力関係、特にロシアと中国の協力の想定以上の進展、ロシア・北朝鮮協力という新機軸、さらには「仕返し」の機会を探るイランの動きがあることが、台湾有事の「形態」にどのような影響を及ぼすかの考察が足りない。
さらに、これはASG会合後の動きだが、台湾における国民党議員リコールが完全に失敗したことの影響をどう見るかも重要だ。元々リコールの動きは、中国政府から唆された国民党議員が、議会で政府予算への行き過ぎた介入や違憲審査を実質的に不可能とする司法院判事指名手続きの妨害を行ったこと等を背景に、議会で多数派を持つこと無しには思うように政権運営が出来ない民進党の欲求不満の発露だった。
これに国民がノーを突きつけたのは、先の総統選挙で総統に民進党の頼清徳を選ぶ一方で議会多数派を国民党に与える「民意」が示されたにもかかわらず、これに真っ向から対抗する動きへの反発だろう。この結果、議会では国民党の暴挙継続が容認されるが、同時に頼清徳側も「主権」「独立」に関する積極的な政策を取りにくくなるので、両岸情勢にとって悪い話ではないかもしれない。
