2025年12月6日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年8月6日

 2025年7月11日付 ワシントン・ポスト紙は、「ルビオ曰く、本年中に米中首脳会談が行われる可能性は高い」と題する解説記事を掲げ、東南アジア諸国連合(ASEAN) 外相会合時の米中外相会談等の概要と背景を解説している。

(Barks_japan/gettyimages・ロイター/アフロ・dvids)

 ルビオ国務長官は初の米中外相会談後、トランプは近々習近平と会うかもしれないとし、会談は非常に建設的だったと述べた。本年中に米中首脳会談があるかと問われルビオは、双方望んでおり、可能性は高くいずれ実施されるだろうと述べた。

 発言は指名公聴会で中国を米国の史上最大の競争相手だとした対中強硬派のルビオにしては前向きだった。これは、政権内で今こそ対話の好機という考えが主流なことを意味する。

 貿易戦争にもこだわらずトランプは習を友人と呼び取引の希望を繰り返してきた。ルビオは貿易や台湾等の対立を強調せず、大国間には常に意見が異なる問題が存在すると発言した。

 会談は ASEAN 外相会合の際行われた。米中は ASEAN 諸国の支持を巡り競争している。ルビオと王毅外相は約1時間会談した。前日ルビオはウクライナ戦争での中国の対露支援を話したいと述べた。

 中国はできる限り対露支援したい考えであるとルビオはラブロフ外相との会談後に述べた。ルビオとラブロフは翌日再度短時間会談した。

 対中強硬派と評価されるルビオは、2020年以降中国のブラックリストに載っている。彼は国務長官就任直後の1月に王と電話会談した。

 今回は国務長官として初のアジア訪問だが、今週のトランプ関税激化とアジアの同盟国への防衛費増額要求で複雑な訪問となった。中東と欧州の紛争でルビオのアジア訪問は一カ国で数時間になった。

 ASEAN外相に対する発言でルビオは、米国はアジア諸国との強い協働に関心があり、これから50年の歴史はほとんどこの地域で作られると述べた。ルビオは日韓歴訪の予定をワシントンでのネタニヤフ首相との会談同席のため中止し、代わりに日韓外相とASEAN会合の機会に会談した。

 米国代表団は、トランプ大統領が米国の要求に応じない限り関税を導入するとの脅しをアジア諸国にかけた直後に地域に到着した。この動きは中国を孤立化させる努力に反する。


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