2026年1月24日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年8月6日

 次に、トランプ大統領は7月14日、ロシアが50日以内にウクライナ戦争停戦に合意しなければ、第二次制裁としてロシアと取引する国に対し100%の関税を課すと表明した。この制裁導入の期限は、今のところ9月2日である。

 これは、パトリオットミサイルのウクライナへの供与に加え、長く待たれてきたロシアに対する米国の本格的圧力だ。中国に対しては、ロシアを選ぶか、関税で米国との取引を選ぶかの決断を迫るものだし、上手く使えば、中国の対露支援を制約し、中国にウクライナ戦争停戦に積極的に貢献するよう求める交渉材料として、ウクライナ停戦実現の梃としても働きうる、一石三鳥の良手だ。是非賢く使うことを期待したい。

習近平政権にも見える綻び

 最後に、中国の問題について述べる。実は、中国において、あれだけ盤石に見えた習近平政権の綻びに関する観測がここ数カ月多く出てきている。習近平が就任後初めて7月6日のブラジルでの新興国グループBRICS首脳会談に欠席し、さらに、7日の抗日儀式にも姿を見せなかったこと、5月10日から6月3日まで動静に関する報道が途絶えたこと等に基づく健康不安説や、共産党人事担当の中央組織部長が、曽慶紅人脈の人間に代わったこと等の不規則人事、さらには、先の共産党大会で24人の政治局員からも外れ失脚が確定したかに見られた共青団のプリンス胡春華の動静が最近大きく報じられるようになったこと等から、習近平の「次」に関する観測が百出している。

 これから年末にかけては、北戴河会議、4中全会という政治日程が立て込む。習近平にとっても、早いディールによる米国との関係正常化は待った無しの課題なのだろう。

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