2026年3月5日(木)

酷似する 「戦間期」と現代

2026年3月5日

高橋是清は積極財政により世界大恐慌後の昭和恐慌から日本を救った人物として語られることが多いが、命を懸けてまで訴え続けていたこととは、国力を無視した国防のみにとらわれることの危険性だった。「Wedge」2026年3月号に掲載されている「酷似する「戦間期」と現代 第三次世界大戦を防げ」記事の内容を一部、限定公開いたします。
(PORTRAITS OF MODERN JAPANESE HISTORICAL FIGURES)

 90年前の1936(昭和11)年2月26日早朝、当時の大蔵大臣・高橋是清は陸軍青年将校の凶弾に倒れ、81年の生涯を閉じた。積極財政により世界大恐慌後の昭和恐慌から日本を救った人物として語られることが多いが、是清が命を懸けてまで訴え続けていたこととは、国力を無視した国防のみにとらわれることの危険性だった。2000年11月に日本の国債市場を舞台にし、日本経済の危機を予見した小説『日本国債』(講談社)がベストセラーとなり、多くの海外メディアからも注目された作家の幸田真音氏。13年に是清の生涯を描いた『天佑なり 高橋是清・百年前の日本国債』(角川書店)を執筆した同氏に是清の姿勢から今を生きる我々が学ぶべきことを聞いた。

編集部(以下、──)本書執筆のきっかけとは。

幸田 『天佑なり』のあとがきにも触れているが、私が財務相の諮問機関である財政制度等審議会(財政審)の委員だった頃、財務省は海外にも日本国債の買い手を求めようと、積極的なIR(投資家向け広報)活動を開始した。

 ある時、会議の席で担当の若手官僚が「日本国債を海外で売ろうと頑張るなんて、明治時代の高橋是清以来のことなんですよ」と話した。その言葉は私の記憶に鮮烈に刻まれ、歴史を経済の視点で捉え直し、高橋是清や当時の公債発行の背景について調べたいと思った。


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