2025年12月6日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年10月10日

 経済的に繁栄している台湾は、欧州諸国と同様、武器を買うべきだというのがトランプの考えである。先月のアンカレッジでの米台防衛関係者の会合では、大規模な武器パッケージの売却について双方が合意したと言われる。

 台湾は補正防衛支出法案を通過させ、同パッケージ(数十億ドルになる可能性がある)を購入するつもりだ。その中身は台湾の海岸線を監視するためのドローン、ミサイル、センサー等の「非対称」機器等で占められると言う。

 ただ、これら次世代兵器は引き渡しまでに数年かかる可能性がある。台湾は既に数十億ドル相当の兵器(F1 戦闘機やハープーン対艦ミサイル等)の到着を待っている。

 トランプは政権に返り咲いて以来、突如対中貿易戦争を仕掛けたり、米国の半導体産業を盗んだと台湾を非難したり、中国と台湾に対し矛盾するシグナルを送っている。米台防衛関係者の会合もキャンセルし、8月に頼総統が予定していたニューヨークとダラス訪問も阻止している。

 トランプは自分の在職中は中国の台湾侵攻はないと繰り返し言ってきた。今週、トランプ政権は台湾への5億ドル相当の武器売却を議会に非公式に通告したと、ある議会スタッフが語ってくれた。

 一方、トランプはこの秋に習との首脳会談を実現しようと、ここ数週間、米中の閣僚が電話会談を行っている。国防総省の声明によれば、今月、中国の董军国防相と会談したヘグセス国防長官は、「米国は中国との争いは望んでおらず、政権交代や中華人民共和国の扼殺(やくさつ)も追求していないと明言した」と言う。

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戦略よりも戦術を重視するトランプ

 この解説記事は米政権内部の事情通から得られた情報をベースに、ワシントン・ポスト紙の信頼できる記者が書いたものである。注目に値する。


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