2022年11月27日(日)

都市vs地方 

2021年12月1日

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吉田浩 (よしだ・ひろし)

東北大学大学院 経済学研究科教授

高齢経済社会研究センター長。1995年一橋大学大学院博士課程満期退学、97年東北大学大学院経済学研究科助教授、2007年より現職。会計検査院第9代特別研究官、経済企画庁経済審議会特別委員も歴任した。著書に『男女共同参画による日本社会の経済・経営・地域活性化戦略』(河北新報出版センター)、『厚生労働統計で知る東日本大震災の実状』(統計研究会)など。

 前回の「都市VS地方 今や「地域力」は人口だけでは測れない」では、地域の持続可能性を判断する場合に、単に高齢者が多いことを示す高齢化率や人口総数という規模の視点で考えることは、必ずしも現在の日本にふさわしくないことを示した。

 今回は、地域で必要な財やサービスを地域でまかなうことができるかという「生産力」の観点に焦点を絞って地域の持続可能性を考えることとしたい。

(Gilitukha/gettyimages)

あまり意味をなさなくなった生産年齢人口

 地域の生産力を持続的に維持するためには労働力が重要である。この労働力を評価する指標として「生産年齢人口」(15~64歳人口)があげられる。生産年齢人口は、上に挙げた65歳以上の高齢者人口とは対をなす概念とも言える。

 高齢化率は高齢者÷全人口であるから、この分母の全人口を「高齢者人口(65歳~)」+「生産年齢人口齢人口(15歳~64歳)」+「年少人口(0歳~14歳)」に分割すれば、高齢化率が高いということは、分母の生産年齢人口が小さいということを意味する。しかし、高齢化率が地域力の指標として十分とは言えなかったように、生産年齢人口もまた地域力の指標としては十分とは言い切れない。

 なぜなら、生産年齢人口が対象としている15歳から働き始める人口は、現在の日本ではさほど多くないことが挙げられる。2020年の文部科学省の統計では、高校進学率が95%を超え、大学進学率も50%を超えているため、生産年齢人口のうち20歳前半までは、就学のため労働市場に参加していない人口が相当数存在するということになる。

 また、20歳代後半からの人口も、そのすべてが実際に就業しているとは限らない。生産年齢人口は実際に生産に従事しているという指標ではなく、単に年齢的な基準でカウントされた人口であるという限界を持っている。

 そこで、地域の生産力を持続的に維持できるかを見るためには、実際に就業をして地域に必要な財やサービスを作り出している人口が(年齢にかかわらず)どれほどいるのかを問題にしなければならない。

産業構造の転換で重要となっている女性の就業

 「年齢にかかわらず」就業している地域人口がどれほどいるかに加え、「性別にかかわらず」という視点も重要である。すなわち、高齢者の就業問題に加えて、女性の就業問題にも注目する必要があるということである。

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