都市vs地方 

2021年11月12日

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岡田 豊 (おかだ・ゆたか)

みずほリサーチ&テクノロジーズ調査部経済調査チーム上席主任研究員

1967年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、現在のみずほ総合研究所の前身である富士総合研究所に入社。「第2期『まち・ひと・しごと創生総合戦略』の策定に向けた KPI 検討会」委員などを兼任。

 岸田文雄新政権の信を問うともされていた衆議院選挙は、自民党と立憲民主党がともに議席を減らし、日本維新の会が前回の約4倍の議席を獲得する結果となった。これまでの自民党政権でなく、共産党と共闘した立憲民主党でもない、改革志向の維新が支持を得たとも言えるが、実は「都市と地方」の課題にも密接に関わっている。

 自民党や立憲民主党といった既存の政党は、地方への富の配分に力を入れる「地方重視」とも言える政策を昭和、平成、令和にかけて進めてきている。さらに、新型コロナウイルス対策として、都市部の移動を制限するといった施策がとられてきた。都市部の有権者、特に若者世代は、既存政党にない新たな〝選択肢〟を求めている。そこに、大阪府という都市部を中心に政策を組む日本維新の会を選んでいると見ることができる。

 自民党は衆院選で、序盤の劣勢から単独で国会を安定的に運営できる「絶対安定多数」を確保するまでに踏ん張ったが、重要なのは、来夏に控えた参議院選挙となる。日本の政権交代は、2009年に民主党政権が誕生したのをはじめ、参院選で過半数を失うことに端を発している。岸田政権にとっては、来夏の参院選が「天王山」と言える。都市部の有権者をいかに動かすのか、地方のビジネスをどう動かすのか、文脈を作ることがカギとなっている。

(show999/gettyimages)

「コロナ移住」をどう読むのか

 都市と地方について、昨今メディアを中心に話題となっているのは、コロナ禍で地方移住が進み、地域が活性化していくのではないか、というものだ。企業がリモートワークに舵を切り、週に数回または月に数回しか大都市のオフィスに出勤する必要がなくなり、住み心地が良い地方に引っ越ししているという潮流である。

 ここで、東京圏をめぐる転入・転出を見てみよう。総務省統計局の「住民基本台帳人口移動報告」によると、就学・就職に伴う人口移動が多い21年4月の東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)の転入超過数(転入-転出)は、コロナ前の19年4月に比べて減少しているものの、コロナ禍でも転入者が転出者を上回る転入超過となっている。つまり、コロナ禍にも関わらず、東京一極集中は緩やかに進んでいるといえる。

 また、フルリモートワークの進展で大都市での仕事を持ち込んだまま地方に移住する「転職なき移住」が増えている。その移住者が自宅を仕事場として地域とあまり関係をもたないのであれば一種の「ひきもこり」ともいえ、移住者が地方にもたらす経済効果は限定的であろう。

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