2025年12月5日(金)

韓国軍機関紙『国防日報』で追う

2025年8月5日

 韓国で64年ぶりとなる文民の国防部長官が誕生した。だが、案の定とも言うべきか、聴聞会で安氏が兵役の際に脱走や懲罰施設入りを疑われ、国防日報が就任演説の重要部分を削除するなど、韓国らしい迷走も見られた。もう一つの話題は、韓国で問題になっているオレオレ詐欺ならぬ、軍人詐欺だ。韓国軍は国防コールセンターに専門窓口を開設し、被害防止に努めている。

安圭伯国防部長官の一波乱あった船出

 7月25日、李在明政権の国防部長官に安圭伯(アン・ギュベク)議員が就任した。安氏は先に伝えたとおり、2008年の初当選以降、5期連続当選し、16年から2年間、国土交通委員会に所属した以外は一貫して国防委員会に所属した、日本でいうところの「国防族」議員だ。

国防部長官に就任した安圭伯氏(出所)韓国国防部

 韓国での閣僚就任までの流れは、大統領による閣僚候補者指名、国会での聴聞会の開催を経る。聴聞会では候補者の資質や道徳性が検証され、その結果を国民に公開することに主眼が置かれる。

 安氏の聴聞会は7月15日に開かれた。長らく国防委員会に所属していたため、難なくクリアできると考えられていたが、そうはならなかった。

 安氏は「防衛兵」という郷土予備軍のような兵役に就いていたが、この期間が通常の14カ月より8カ月も長かったことについて、野党が追及した。軍務離脱(脱走)や営倉(懲罰施設)入りしていたのではないかと疑って兵籍記録簿の提出を求められたが、安氏は拒否した。

 結局のところ、安氏に軍務離脱を含む前科はなく、服務期間が8カ月長くなるには16回の営倉入りが必要であり、兵務庁の誤記だったということで決着した。

 7月28日のヘッドラインは、安氏の国防部長官就任を伝えたもの。国防日報は就任演説の全文を掲載せず、演説の一部を引用する形で報じたが、ここでも一悶着が起きた。


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