2025年12月5日(金)

韓国軍機関紙『国防日報』で追う

2025年7月29日

 韓国を襲った記録的な集中豪雨に際して、韓国軍は被災地域に派遣され、土砂の撤去など被害復旧のための支援作戦を繰り広げている。国防日報は先週に引き続き、韓国軍の災害派遣の様子を立て続けに報じている。災害の際には、日本でも自衛隊が活躍するが、若い隊員への教育という面では韓国が一歩先んじているようだ。

災害派遣で将兵の安全と健康を気にかけるワケ

 韓国では、7月16日から20日にかけて起こった記録的な集中豪雨によって、北部や南部の山あいを中心に浸水や土砂崩れが相次ぎ、19人が死亡、11人が行方不明、2500人以上が帰宅できない状況が生じた。李在明大統領が20日に汎政府復旧支援対策本部を発足させたように、国を挙げて被害復旧に取り組んでいる。国防日報も先週から引き続き、軍の災害派遣の様子を伝えた。

 国防部は20日、災害対策本部を設置し、部隊近郊の状況と被害復旧支援に必要な内容を点検した。実際の被害復旧支援を指揮するのは、陸軍第2作戦司令部だ。同司令部は、38度線沿いと首都圏を除く韓国領土の約7割の防衛を担当している。隷下の第31・32・35・39歩兵師団と直轄部隊が全国の被災地で活動し、23日までの派遣規模はのべ6900人に上るという。

記録的な集中豪雨で、韓国軍が復旧支援に従事している(出所)韓国陸軍

 ちなみに、韓国陸軍のほとんどの実戦部隊は地上作戦司令部の指揮下にあるが、38度線と首都圏を防衛する同司令部隷下部隊の移動や転用は、北朝鮮への備えの観点から歯止めがかけられている。もしかすると、一部の部隊が被害復旧支援に投入されたかもしれないが、国防日報はOPSEC(作戦保全)の観点からか、地上作戦司令部の動きは報じていない。

 そして、軍の派遣に際して興味深いのが、将兵の処遇だ。25日付ヘッドラインが派遣部隊の感染症対策を報じたように、韓国軍は将兵の安全と健康問題をことのほか気にかけている。たとえば、①出動前に大隊長級以上の指揮官が、将兵が必要な物資や安全装備を携行しているか事前点検する、②50分作業・10分休憩を繰り返す、③帰隊後はシャワーと洗濯を保証し、軍医が健康状態を確認する――という具合だ。


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