ソウルで7月11日、日米韓参謀総長等会議が開催され、3カ国は国連安保理決議に基づき北朝鮮の完全な非核化のための努力を継続することで意見が一致した。李在明政権の発足で日米韓の防衛協力に綻びが生じるおそれが懸念されるが、日本の統合幕僚長が本会議に参加するため15年ぶりに訪韓するなど、緊密な連携が維持されている。一方、台風シーズンを前に軍隊も災害に備えている。
日米韓の軍人トップ会談がソウルで初開催
14日ヘッドラインは、7月11日にソウルで開催された第22回日米韓参謀総長等会議(Tri-CHOD)について報じた。この会議は、日米韓3カ国の軍人トップが集うもので、日本から吉田圭秀統合幕僚長、米国からダニエル・ケイン統合参謀本部議長、韓国から金明秀(キムミョンス)合同参謀議長が参加した、名実ともに最高位のハイレベル防衛交流だ。
実は、この会議の開催をめぐって、日韓防衛当局による交流再開に向けた努力があった。ことの発端は、文在寅政権時の2018年12月、日本海を哨戒中の海上自衛隊のP-1哨戒機に、韓国海軍の駆逐艦「広開土大王」が火器管制レーダーを照射した事件に遡る。
一般論として、軍艦からの火器管制レーダー照射は、航空機の撃墜を意図する敵対行為だ。事件に関する日韓の主張は真っ向から対立し、事件以降、日韓の防衛協力はほぼ停滞していた。
そのような中で、尹錫悦政権の24年6月、日韓防衛相が会談し、レーダー照射事件の再発防止に合意した上で、自衛隊と韓国軍のハイレベル交流の再開などで一致。7月には米国以外で初めての開催となる日米韓参謀総長等会議を東京で開催し、日韓軍人トップが8年ぶりに会談したという経緯がある。
こうして吉田統幕長が15年ぶりに訪韓するに至り、韓国で初めての開催となる会議に参加した。共同声明に盛り込まれた「北朝鮮の完全な非核化」は時すでに遅しの感はあるが、3カ国は会議に合わせて、B-52H戦略爆撃機と韓国空軍のKF-16戦闘機、空自のF-2が済州島南方の公海上空域で合同訓練を実施して、北朝鮮にプレッシャーをかけた。
李在明政権の発足で日米韓の防衛協力に綻びが生じるおそれが懸念されているが、現時点では尹政権の遺産を継承する形で緊密な連携が維持されているようだ。

