2025年12月6日(土)

韓国軍機関紙『国防日報』で追う

2025年7月23日

韓国でも平時の重要任務「災害派遣」

 18日ヘッドラインは、集中豪雨に際して、行政安全部が中央災害安全対策本部の対応区分を非常2段階から最上位の非常3段階に格上げしたことを受けて、国防部が対策指針を示したことを報じた。主な内容は、僻地など危険地域に駐屯する部隊の退避、航空機や艦艇などの固縛、緊急復旧装備や災害救援物資などの確保であり、あわせて国民行動要領の教育も指示した。

 韓国の防災システムは中央集権的で、大統領の直轄機関として中央災害安全対策本部が置かれている。このシステムの独特な点は、災害の種類によって本部長が決まることだ。自然災害などでは国務総理または行政安全部長官が、海外での災害では外交部長官が、原子力災害では原子力安全委員会委員長が本部長に指名される。

 加えて、さらに韓国らしいのは、国の防災ポータルサイト「国民防災安全ポータル」の構成だ。自然災害の予防、いわゆる「防災」とともに、サイトの柱として「民間防衛」が置かれている。民間防衛とは、戦争や大規模災害などの有事に、国民の生命や財産を保護するための非軍事的な活動を指す。

 韓国では日本の消防団にあたる組織を「民間防衛隊」と称し、行政安全部が所管している。軍人や警察官・消防官などを除く20歳から40歳までの男性が年間10日間の訓練を受け、平時には各種災害の予防、有事には住民統制や救助活動を行う。

 ただし、実際のところは、大規模な自然災害や事故に対処するのは軍隊だ。毎年のように起こる風雨災害のほか、14年のセウォル号沈没事故、コロナ禍での防疫・ワクチン接種支援、今年3月にあった山火事の鎮火などにも出動している。

 韓国でも8月から9月は台風シーズン。若い兵士たちは、北朝鮮の脅威に備えると同時に、自然災害にも備えている。

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