2025年6月22日(日)

韓国軍機関紙『国防日報』で追う

2025年6月10日

 韓国では6月3日に大統領選挙が行われ、李在明氏が第21代大統領に就任した。尹錫悦前大統領の非常戒厳宣布とその後の混乱を経て誕生した李大統領は、選挙公約で軍の改革を求めていた。李大統領の就任日の動きを追うと、日韓の軍事に対する考えの違いが浮かび上がる。他方、韓国では在韓米軍移転報道の余波が続いている。

李在明大統領就任日の動きを追う

 李在明氏は4日、国会議事堂で大統領就任の宣誓と演説を行い、「国民を団結させる」と誓った上で、「私は全国民の大統領になる」と抱負を述べた。これ以降、国防日報は主に李在明大統領の国防政策や統帥権移譲など関連動向を報じている。

 李大統領の任期が始まったのは、公式には4日午前6時21分のこと。その約1時間半後、仁川市内の私邸で、韓国軍のトップである合同参謀議長(合参議長)から「統帥権移譲報告」を電話で受けたことが初めての業務となった。これは統帥権を持つ大統領に対して、軍が指揮下に入ったことと、軍の態勢を報告するもので、歴代大統領もこの報告を受けることが大統領としての初仕事だった。

 李大統領は合参議長に「大統領は軍の国民に対する忠誠と力量を信じる。国民の愛と信頼を受ける軍になるよう最善を尽くして欲しい」と話したあと、「米韓連合防衛態勢を根幹として北朝鮮の動向をよく把握し、隙のない警戒態勢を維持して欲しい」と付け加えた。

 そして、最後に「非常戒厳事態の時、軍の将兵が国民と国家に対する忠誠心で、不当な命令に消極的に対応して大きな混乱に陥らなかったのは本当に良かった」と評価した。

 報告を受けたその足で、国立ソウル顕忠院に向かった。ここは独立運動や朝鮮戦争、ベトナム戦争での戦死者や歴代大統領が祀られる施設。ここで「国民が主人公の国。国民が幸福な国。国民とともにつくります」と記帳して、就任演説を行う国会議事堂に移動した。

 演説を終え昼食をとって向かった先は、合同参謀本部の戦闘統制所だった。ここで国防部長官職務代行と合参議長から軍の警戒態勢の報告を受けると、「軍の統帥権者として自らの役割を果たす。軍の名誉回復に注力する」と訓示した。

李在明大統領が殉国者と戦没将兵を追悼する「顕忠日」の式典に参加した(代表撮影/ロイター/アフロ)

 その後、大統領室に戻って夜7時過ぎから2時間、内政関係者を集めた会議を開催して、選挙期間中に強調していた民生回復と経済成長のための第1号行政命令「緊急経済点検タスクフォース新設指示」を発出した。夜は自宅に戻らず、大統領警護処が準備したセーフハウスで一夜を過ごしたという。


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