ロシア派兵でドローン作戦の戦訓を得た北朝鮮軍に対抗して、韓国軍は段ボールドローンの導入計画を再開し、陸軍に「対ドローン教育課程」が新設された。積極的な活用に舵を切ったとされる韓国軍のドローン政策とは? また、歴史的に変遷を続けてきた軍の精神教育制度が変わろうとしている。それは、SNSによる偽情報対策の一つとも言える。
段ボールドローンからドローン空母構想まで
「ドローン」と言って思い浮かぶのはウクライナ戦争だが、韓国軍はかなり早い段階からドローン(註:本稿では無人機全般を指す)作戦に取り組んでいる。2022年12月に北朝鮮のドローンがソウル上空に侵入した事件を受けて、国防部長官直轄の「ドローン作戦司令部」を創設した。また、これに先立って陸軍は「ドローンボット戦闘団」を創設していた。前者は戦略的に、後者は戦術的に運用されているようだ。
15日ヘッドラインの「海軍、商用無人システムの軍事的活用を検証」は、戦争など国家的クライシスが発生した際に、商用ドローンを動員して偵察や監視、攻撃、後方支援などに活用することを目的に行われた。
訓練は釜山沖で行われ、自律運航船「海洋ヌリ号」(69トン)のほか、空中・水上ドローン、ドローン母船などが参加した。海洋ヌリ号からハンドローンチで飛翔した段ボールドローンによる自爆攻撃(模擬)、商用マルチコプターによる爆弾(ペットボトル)投下など戦術的な検証が行われたようだ。
韓国軍は昨年、段ボールドローンの調達を進めていたが、製造業者が不適合判定を受けて事業が頓挫した。そのような中で事業を再開した背景には、北朝鮮が昨年公開した訓練に段ボールドローンが登場したことがあるとみられる。韓国の段ボールドローンは、一人称視点(FPV)で最高速度は時速100キロメートル(km)、航続距離・時間は20km・20分に及ぶ。
一方で韓国陸軍は、5月から「対ドローン教育課程」を開始した。同課程は、昨年1月から米・国防総省傘下の合同小型無人機対応局(JCO)と協力して準備されていたもので、指揮幕僚課程の学生を対象としている。