なお、韓国の放送局「SBS」は5月6日、海軍が軽空母構想に代えてドローン空母事業を推進することが確認されたと報じている。海軍は昨年10月、揚陸艦「独島」で固定翼ドローンの離着艦訓練を行っていた。積極的なドローン作戦に舵を切った韓国軍の動きは、正直なところ刮目に値すると言えるだろう。
徴兵制の弊害でもある「士気」の維持向上
14日ヘッドライン「国防精神戦力院、象徴の改定で精神戦力を極大化」に登場する国防精神戦力院とは、1977年に創設された「精神教育」を専門に行う機関のこと。韓国軍が精神教育を重視するのには、いくつかの理由がある。
韓国軍は、日本に代わって南朝鮮を統治した米軍によって創設された軍隊だが、精神的な紐帯は中国で活動した大韓民国臨時政府傘下の「光復軍」にあるとしている。臨時政府と光復軍は蒋介石が率いた国民党の支配を受けていた。韓国軍の創設にあわせて、光復軍出身者が持ち込んだ制度が「政訓」だった。
これは政治訓練の略で、簡単に言うと軍隊に政治将校を配置するシステムだが、共産主義的な制度に拒否感を示した米軍の反対によって、政訓のシステムは愛国心の高揚など精神教育に形を変えた。これが韓国軍の精神教育の源流だ。そのほか、同じ民族を相手に戦わなければならない将兵に北朝鮮への敵愾心を植え付ける必要もあった。
このように韓国軍の精神教育制度は歴史的に変遷してきたわけだが、14日の記事は国防精神戦力院が部隊章からスローガンなどを全面改定したことを伝えている。新たなスローガンは「敵と戦って勝つ軍隊! 敵と戦って勝つ兵士! 敵を圧倒する精神武装!」になった。
また、これに伴って開催された「76周年『兵科の日』セミナー 政訓、歴史と未来の出会い」(12日)では、精神教育が統合情報作戦(認知戦)に寄与するための方策が議論された。詳細は報じられていないが、AIを活用した精神教育や広報のあり方が議論されたことから、SNSでの偽情報から兵士や国民を守るための様々な手段が検討されたとみられる。