高市早苗首相の台湾に関する発言を契機に、中国が日本に対する圧力を強めている。中国のメディアやSNSを見ると、高市首相と日本に対する批判や揶揄、嘲笑が毎日、多数更新されている。そうした情報の多くは事実に基づいていない。
中国のネットの世界は、リアルな世界とは別の現実、中国版「ポスト・トゥルース」に埋め尽くされているのだ。11月7日の発言から1カ月が過ぎたが、その勢いは今もとどまるところを知らない。
高市早苗首相を揶揄するAIアニメ
中国中央電視台(CCTV)公式サイトは12月1日、「脳殻有包,医都医不好。搞事的高市(頭の病気はお医者さんにも治せない。もめ事を起こす高市)」とのタイトルの動画を公開した。「AI奇談」というシリーズの一本で、生成AIを使った作品である。
過去のシリーズを見ると、中国インフラの大発展や宇宙ステーション、空母の電磁カタパルトの説明などの作品があるが、動画のクオリティはかなり高い。今回の作品は時間こそ3分弱と短いが、内容は強烈だ。
主人公はペリカンのような鳥。「私は騒ぎを起こすのが大好きなの!」と大騒ぎし、周囲をうんざりさせる。周りの反感も意に介さない。
「私にはワシのおじさん(米国)がついているから」と胸を張り、ワシの糞を宝物のように自慢して大いばりだが、周囲からは総スカンだ。その騒ぎの中には糞の山を拝んでいる一幕も。「あの短命な鳥(故・安倍晋三元首相を指した言葉とみられる)が残した家宝だと思ってるんだ」と、周囲からあきれられている。
最後に中国を擬人化したキャラクターであろうパンダが登場し、「頭の病気はお医者さんにも治せない」とつぶやく。
いかに対立しているとはいえ、一国の首相をここまでバカにした作品を国営メディアが配信するのはあまりに品がないのではないか。先月、薛剣・駐大阪中国総領事がX(旧ツイッター)で、「その汚い首を一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない」と投稿したことが日本社会の反発を招いたが、このCCTVの動画も品の悪さでは負けてはいない。
