“不買運動”の実態
先日、ある中国マーケティング企業の話を聞いたが、今回の一件があった後も日本製品の売れ行きはまったく落ちていないとのデータがでている。2023年の福島第一原発の処理水の海洋放水では影響があったが、今回はまったくなし。オフラインでも日本料理店や日本製品に対するボイコットは聞かない。
注目を集める訪日中国人観光客の減少についても、ネットの騒ぎとリアルとの距離を感じる。旅行会社によるツアーキャンセル、航空会社による路線運行停止、さらには国有企業や政府部局では旅行取りやめの強制といった動きが出ているが、一般の中国人旅行客の間では日本旅行を忌避する動きは目立っていない。
日本を訪問する中国人旅行客のうちツアー客は約15%、個人旅行客が85%と大半を占める。12年の尖閣国有化問題の時にはツアー客が大半だったため、中国人旅行客をゼロにする”制裁”は可能だったが、現在は困難だ。航空路線の運休によって個人旅行客も減少するだろうが、潰滅するまでにはいたらないと予想している。
ことほどさように、ネットの中の中国とリアルな中国とには乖離がある。ますますもって中国を知り理解することは難しく、かつ厄介になっている。そして、隣国・日本の立場として“面倒な”だけではなく、中国にとってもこの「ポスト・トゥルース」社会は果たして健全なものなのか、このままでいいのかと危惧せざるを得ない。
