2026年2月19日(木)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2025年12月15日

 怪しげな情報が転がっているのは日本も大差はないが、中国が一味違うのはこのニュースが大手検索サイト・百度(バイドゥ)やTikTok運営企業バイトダンスのニュースサイト「今日頭条」のホットニュースに入っている点だ。いわば、日本のYahoo!ニュースのトピックスに、フェイクニュースがあふれかえっている状況だ。

現実との乖離

 中国はメディアの情報統制を厳格に行っている。政治家のスキャンダルや社会問題に関するニュースを自由に報道することはできないばかりか、今後の中国経済はどうなるかといったトピックも厳しく規制されている。

 そればかりか、健康問題に関するインフルエンサーの怪しげな解説なども規制対象。中国共産党の統治を揺るがすような政治的視点だけではなく、人民を惑わせるような虚偽情報も取り締まる方針を打ち出している。

 しかし、日本に関しては、首相をバカにするような過激な表現もOK、フェイクニュースも流し放題、それをトップニュースにしても良しという無法地帯と化している。

 昨年、広東省深圳市で日本人児童が刺殺される事件が起きた。中国在住日本人からはいつかこうした問題が起きるのではとの声も聞かれた。というのも、「日本人学校は中国の土地を奪う植民地で、スパイを養成している」といったフェイクニュースが大量に出回っていたためだ。

 フェイクニュースの発信者たちはそれがウソであることを知っているであろうし、本気で信じる視聴者がどれほどいるかもわからない。だが、一部ではフェイクニュースを信じて凶行に及ぶ人が出るのではないか。そうした懸念が広がっていたのだ。

 ただ、あくまで筆者個人の体感だが、昨年と比べると現在の中国ではそうした不穏な事件が起きそうなムードは薄いように感じる。中国政府は日本に関するフェイクニュースを相変わらず野放しにしているが、一方、現実社会でなにかの行動を起こそうとする人は取り締まり、対処しているためだ。

 結果として、現実離れしたポスト・トゥルースのネット空間と、現実社会との差はますます大きく広がっているようだ。


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