2026年2月19日(木)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2025年12月15日

 それ以上に気になるのが、中国で形作られている高市首相のイメージがどんどん現実から離れている点だ。先月には「高市早苗(ガオシーザオミャオ)じゃない、鬧事早苗(ナオシーザオミャオ、もめ事を起こす早苗)だ」との掛け言葉が流行ったが、そのイメージが固定化し、「米国を頼みにもめ事を起こしまくる迷惑野郎」というキャラ付けになったようだ。

高市首相のイメージをどんどん悪化させている

 しかし、「もめ事を起こしまくる」と言われても、台湾に関する発言以外に何かあったのだろうか。

中国の「ポスト・トゥルース」

 客観的な事実ではなく、感情やイデオロギーに裏打ちされた情報が蔓延する社会を「ポスト・トゥルース」と言う。フェイクニュースやデマはいつの時代にも存在していたが、インターネットが発展した現代社会では、事実に裏打ちされてない情報の”量”は圧倒的に増えた。

 これは世界共通の現象ではあるが、中国の「ポスト・トゥルース」はどうにもいびつだ。日本との緊張の高まりはそれを改めて可視化する機会となっている。

 中国ウェブニュースのホットトレンドを毎日チェックしているのだが、「こんなことあったっけ?」と頭を抱えたくなる不思議なニュースが毎日のように上位にランクインしている。

 11月23日にランクインしていた「警戒せよ!日本が5万8000人の大軍と戦闘機300機を動員」もその一つ。1分弱の短い動画ニュースなのだが、日本が大軍を動員した、中国人は歴史を忘れず警戒心を怠ってはならない……という中身のあるのかないのかわからない内容だが、タイトルだけを見ると日本があたかも戦争の準備を始めたかのような印象だ。おそらく10月20日から31日にかけて実施された自衛隊統合演習のニュースを、日時を伏せたまま引っ張ってきて、形式的にはフェイクニュースではないと言い逃れられるようにしている。

 タイトルで気になった人が思わずクリックして内容を確認してしまう。いわゆる「釣り」である。ちなみに、中国語では「標題党」(タイトル詐欺一派)と言われる。

 中国人の多くもこうしたニュースには慣れっこになっていて、コメント欄には「日本が攻めてくるのは確か。うちも週末は休みになった」「確かに。昼間以外は働くなと言われた」などと、からかうようなコメントが数多く書き込まれていた。

 この手のニュースはほぼ毎日ある。「なぜ日本は負けるとわかっていても戦争をしかけてくるのか?」「日本学者が声明、なぜ日本は発言を撤回するべきか」「日本各地で高市反対デモが実施される」といった、日本では大きなニュースになっていない話が、トップニュースとして伝えられている。


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