2025年12月5日(金)

韓国軍機関紙『国防日報』で追う

2025年8月5日

 安氏は演説で「今日を起点に国防部と軍は非常戒厳の道具として消費された過去と断絶し、国家と国民を守ることだけに専念する『国民の軍隊』に生まれ変わります」と述べたが、国防日報がそれを意図的に削除したと指摘された。

 李在明大統領は7月29日の閣議を生放送で公開した際、安氏に対して、国防日報の問題を念頭に「綱紀をしっかり引き締めなければならない」と注文した。64年ぶりとなった文民国防部長官の誕生は、韓国の政軍関係に波紋を起こしているようだ。

オレオレ詐欺ならぬ軍人詐欺

 日本では高齢者を対象としたオレオレ詐欺が長らく社会問題になっているが、韓国では「軍人詐欺」が大きな問題になっている。7月30日のヘッドラインが詳しく伝えた。

 軍人詐欺とは、軍人や部隊の担当者を騙って、家電や弁当などの注文をする代わりに、代理購入や先入金を誘導するもの。記事では、実際の事例を紹介している。

 古物商A氏に国軍病院の将校から電話があり、エアコン室外機10台の取り外しが依頼された。A氏が喜んで請け負うと、医療機器を購入したいが業者が足元を見て高額を示してくるので、代わりに安く購入して欲しいと要求してきた。代理購入の金額は1000万ウォンと高額。不審に思ったA氏が国防ヘルプセンターに確認すると、そんな軍人は存在しなかった―-。

 警察関係者は、軍人詐欺が横行する背景を、「部隊が駐屯する郊外には高齢者が多く、彼らは軍人を信頼している。そこにつけ込んだ犯罪」と説明する。

 韓国軍の犯罪捜査機関である国防調査本部は、今年5月、国防ヘルプコールに「24時間軍人真偽確認窓口」を開設した。それからわずか3カ月で、犯罪探知件数770件、被害遮断約42億ウォンの成果を出した。警察庁が2024年1月から25年3月まで取り扱った軍人詐欺は402件、被害額約57億ウォンであることを考えると、確認窓口の設置は犯罪抑止に大きく貢献していると言えるだろう。

 「1303」で全国からつながる国防ヘルプコールは、自殺や兵営生活での苦情、軍犯罪と性暴力、防衛事業不正、麻薬などについて申告・相談を受け付けている。23年の開設10周年の記事を見ると、申告・相談件数は1カ月平均4000件になり、開設前より軍務離脱が83.7%減少し、それに伴う2次犯罪も大幅に減ったという。

 軍人詐欺や過去に「韓国で軍隊への転売対策?驚くべき福利厚生施設での“待遇”とECサイトの実態」で伝えた軍マート転売ヤーなどは、国民と軍の関係が近い韓国ならではの犯罪で、韓国軍はそれらにしっかりと対策しているようだ。

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