中朝再接近の背景とは?
ところが25年9月、金正恩は「中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利80周年記念行事」出席を名目に北京を訪問し、習近平と会談したことで、明らかに潮目が変化する。そして26年6月には習近平が平壌を訪問し、空文化していた「中朝友好協力相互援助条約」(1961年締結)の復活を宣言した。さらには10月15日の「新鴨緑江大橋」開通、22日の朝鮮中央通信による両国首脳間友好メッセージの内容公表と地均しが続き、今回24日の金正恩の丹東訪問につながる。
両国が急速に関係を改善した理由は、第一に喫緊課題として、第2次トランプ政権が再び北朝鮮を俎上にのせようとする中、中朝各自が対米関係で硬軟の策を駆使するため、差し当たって二国間の地固めを必要としたことがある。
第二に大きな構図として、北朝鮮が対露関係を梃に核戦力実用化に目途をつけつつある中、今後は中国を利用した経済開発に力点を移そうとしている可能性である。そこには、中国が北朝鮮をめぐる対米・対露の均衡が傾くことを嫌う心理を計算し、自らの戦略的自立性・選択肢を強化する思惑がある。
だが第三の理由として、これは推測の域を出ないが、将来における金正恩の後継者・後継体制の問題が関係している可能性は否定できない。最近の真偽不明な金正恩健康不安説の浮上や、金与正の活動活発化など、北朝鮮では注視すべき微妙な変化が見受けられる。問題がいつどのように顕在化するのかは判らないが、万が一への備えとして、北朝鮮には両国関係を安定化させておく必要が生じている可能性があり、それは中国にとっても、御し難い隣国への将来的影響力を確保するため、同様なのかもしれない。
いずれにしても中朝関係とは、その壮烈だが単純な友好関係の過度の強調に比し、実際は独特のロジックと打算の積み重ねによって、二国間のみならず多国間のバランスの中で動いている。北朝鮮による核戦力恫喝や拉致被害者問題という直接利害を抱える我が国の朝野も、この複雑奇妙なゲームの経緯や機微を、より真剣に解析・理解する必要がある。
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