2026年10月27日(火)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2026年10月27日

 すなわち北朝鮮の経済開発を援助し、発展の恩恵を享受させ、両国関係を強化すると同時に、核開発の動機を低減できると考えた。北朝鮮でも、金正恩の叔父で指導部ナンバー2の張成沢は、中国との協力と経済開発を重視した。

 だが、12年に実質的最高指導者となった金正恩と後ろ盾の軍部にとって、もはや核開発は経済援助を引き出す恫喝材料ではなかった。それは国家体制を護持し、中国も含めた諸勢力に決して手を出させないための切り札であった。

 同年に成立した習近平率いる中国指導部は、この北朝鮮の変化を危惧して核開発を牽制する。しかし、これに反発した北朝鮮はミサイル・核実験を強行した上、対中関係を重視した張成沢を処刑する。この煽りで、両国協力の象徴として中国が全額負担した「新鴨緑江大橋」は、14年の完成にもかかわらず放置されたのであった。

中朝関係の冷却化

 胡錦涛政権時代の中国が、対北朝鮮政策で陥った思考の罠は、西側諸国の中国に対するそれと酷似する。かつて西側諸国は、中国が経済発展を遂げれば、体制は次第に民主化の道を歩むという、自らに都合のよい幻想を抱いた。

 だが統治の本質的目的が異なる以上、それは決して実現しない。改革開放と経済発展を重視してきた中国は、やはり自らに都合のよい論理で相手を解釈し、北朝鮮の核開発の本質的目的を見誤った。

 その上、中国にとって本音では「格下」とみなしている北朝鮮から、温情として差し伸べた手をきっぱりと振り払われたことは、大変な屈辱であった。特に金正恩が、両国協力の旗頭である張成沢を公開処刑によって火炎放射器で焼き殺したのは、明らかに中国への示威であり、非常な衝撃を与えた。そして、中国は「6カ国協議」を戻すこともできず国際的評価を損ない、一方の北朝鮮は核開発と独自外交を推進した。

 北朝鮮は、核開発を標的にする米国をかわすため、18年には金正恩が北京を訪問し、微妙な範囲内で一時的に関係を修復する。だが返す刀で、同年6月にはトランプ大統領にシンガポールでの直接会談という成果を持たせて篭絡し、米国との関係も表面的だが改善させる。

 さらに24年には、ロシアのプーチン大統領の平壌訪問を機に、ウクライナ侵略で疲弊する同国に兵器・兵員を供給する。北朝鮮は対露関係の急速な強化で見返りを得つつ、これを意図的に誇示した。


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