2026年10月27日(火)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2026年10月27日

 北朝鮮には、金一族直系の支配を継続するための「国体護持」こそが、最も優先される課題である。だが、それゆえに特定国の影響下に置かれることを厭い、独自路線を貫いてきた。

 すなわち、「小国」「緩衝地帯」という地政学的な位置・条件、さらには綿密な利害計算に基づく恫喝と緩和を利用し、自らを取り巻く各国を巧みに操縦して、有利な均衡を作り出し続ける。それが北朝鮮のサバイバル外交である。

ゲーム・チェンジャーとしての核開発

 過去四半世紀の北朝鮮にとって、あるいは周辺国にとってもゲーム・チェンジャーとなったのは、核開発問題である。1990年代から次第に疑念が深まりはじめたこの問題は、03年に北朝鮮が「核拡散防止条約」(NPT)から脱退したことで明確に顕在化した。そして、05年には核兵器の保有宣言が行われ、06年には地下核実験が実施された。

(防衛省資料より) 写真を拡大

 北朝鮮の巧妙さは、この核開発自体を、さまざまな面で交渉材料として活用し、自国に有利な環境・条件を作り出して、果実を得てきた点である。核やミサイルの実験に代表される恫喝の一方で、「非核化合意」のような恣意的・一時的な緊張緩和の姿勢を取り、さらには入り乱れる各国の利害・思惑の間隙を巧みに操作し、核兵器実用化に向けた時間を稼ぐと同時に、必要な援助や資源を着実に引き出し続けた。

 その間にも、核開発は着実に進められた。10年代後半からは、核兵器運用に必要不可欠なミサイル開発が急速に進展する。特に近年は、ウクライナ戦争の泥沼に足を捉われたロシアに兵器・兵員を供給し、見返りにロケット技術の供与を受けて、技術的飛躍を獲得した。こうして北朝鮮は各種弾道弾を揃えるだけでなく、捕捉の難しい潜水艦発射や変則軌道技術を実用化しつつあり、保有核弾頭も50発以上に達すると推計されている。

中国の誤算

 もはや北朝鮮は核兵器保有国として、米中を含めた他国が容易に手出しできない力量を持つに至ってしまった。だが、本来は中国にとっても、隣国の主が容易ならざる相手とすれば、これが終極的兵器を持つことは好ましくないはずである。

 事実として中国は、64年に北朝鮮が原子力技術を求めた際には供与を断り、以降も協力しなかった。だが北朝鮮は、長期にわたる独自の核開発を継続してきたのであった。

 これを止める方策として、中国も主体的に関与した「6カ国協議」が開始された。しかし中国には、北朝鮮への影響力維持のためにも、多国間協議と並行し、中朝二国間の枠組みでも事態解決を図る打算が働いた。


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