各州での演説効果
集中的遊説の中で、トランプ氏が去る1日、最初に訪れたのが、テキサス州だった。同州は、伝統的に強固な共和党地盤として知られてきており、80年以来の大統領選挙では毎回、共和党候補が民主党候補を破ってきた。24年大統領選挙でも、トランプ氏は、民主党のカマラ・ハリス候補に150万票以上の差をつけ、勝利している。
今年の上院選挙でも当初は、共和党候補のケン・パクストン州司法長官が民主党の新人のジェームズ・タラリコ州議会議員相手に、「楽勝」の観測が伝えられてきた。ところが、選挙戦後半に入り、長引く対イラン軍事作戦の影響で、ガソリンなど諸物価高騰が中間所得層以下の有権者を直撃するにつれて、トランプ政権批判が高まり始め、微妙な形勢となった。
このため、トランプ氏は同日、同州デントンの大型トラック工場を訪れ、集まった支持者を前に「今回も私が立候補者だと思って、パクストンにぜひ投票してほしい」などと呼びかけた。その1週間後にも、サンアントニオ市コロシアムで開かれた演説集会でも、演壇に並んだパクストン候補をよそに、同様趣旨のアピールを行った。
大統領は先月下旬にも、ダラス市で開催された共和党全国臨時党大会にも足を運んでおり、1カ月余りの間に3回も同州を訪れたことになる。
しかし、これまでのところ、目に見えた“トランプ効果”は、現れていないどころか、その後、形勢が逆転し、最新の各世論調査ではむしろ、タラリコ民主党候補が3~5%優勢と伝えられる。もし、タラリコ候補が勝利すれば、テキサス州選出の民主党上院議員が38年ぶりに誕生することになる。
同様の動きは、アラスカ州でも見られる。同州では上院2議席のうち、1議席は81年以来、一貫して共和党が、もう1議席も14年以来、同党が死守してきた、テキサスに劣らぬ保守の牙城とみなされてきた。
今年改選される1議席をめぐっては、現職共和党上院議員のダン・サリバン候補と前民主党下院議員のメアリー・ペルトラ候補との一騎打ちとなり、序盤の争いでは、サリバンが優位に立っていたが、その後、接戦が伝えられ始めた。
このため、トランプ氏は去る13日、急遽、予定を変更し、首都ワシントンから空路6000キロ以上も離れた同州に向かい、小都市のアイスホッケー場で行われた集会で、サリバン候補支援演説を行った。ホワイトハウス同行記者団は、大統領自らがこれほどの遠距離にもかかわらず、中間選挙の1議員のために遊説に乗り出したことについて、「危機感以外の何物でもない」と報じている。
ただ、ここでも、支持率33%前後に低落したままのトランプ氏の訴求力が、投票者動向にどれだけのプラス効果をもたらしたかは、全くの未知数だ。10月12日段階での地元世論調査では、民主党のペルトラ候補が数パーセント程度リード、と伝えられる。
トランプ氏はこのほか、アリゾナ州ブルヘッド市(14日)、モンタナ州カリスペル(同日)、ジョージア州ダルトン市(16日)、ケンタッキー州ハイランドハイツ(17日)などを相次いで訪れ、共和党の上下両院議員、州知事候補への投票を呼びかけた。その後も、同じ共和党候補が苦戦しているミシガン、オハイオ、メーン、ニューハンプシャー各州での遊説も予定している。
