MAGA派が民主党候補へ支持も
こうして、昨年から今年にかけてMAGAから離れた人の割合は、調査によってばらつきはあるものの、接戦の選挙区が多い中、見逃せない数字となっている。中には、民主党候補に投票するという元MAGAも少なくない。
米国の選挙では、二大政党への所属は流動的なもので、過去にも多くの党を超えた投票がなされ、結果が左右されたことも少なくない。64年の大統領選挙では、保守強硬派のコールドウォーター候補に危機感を抱いた穏健な共和党員の一部が、民主党のジョンソン候補の当選を目指して、「ジョンソンのための共和党員」という組織を立ち上げて、ゴールドウォーター候補の落選運動を繰り広げたことは有名である。また、24年にもトランプを嫌い、民主党のハリス候補支持を表明した「ハリスのための共和党員」が組織されたことは記憶に新しい。
今回の中間選挙でも、似たような動きがみられる。テキサス州の上院議員選挙では、民主党のタラリコ候補が注目を集め、伝統的に共和党が強いテキサスにおいて議席をとるかが注目されている。対立候補でトランプの支持する共和党パクストン候補が、スキャンダルまみれであることも手伝って、地元の穏健な伝統的共和党員が次々とタラリコ支持を表明しているのだ。
より注目すべきは、穏健派共和党員だけでなく、MAGA派の一部がタラリコ支持に流れているという現象がみられている点である。そこには、大企業寄りの旧来の共和党の政策に対する反発がある。
イーロン・マスクはじめビッグテックばかりを優遇し、庶民の方を向かないパクストンに対し、テキサスの農村部のMAGA派が反旗を翻したのである。スキャンダルまみれのトランプ派候補を落としたい共和党穏健派とMAGA派の一部が共闘して、民主党候補を支持するという珍しい事態になっている。
MAGA派が、トランプが支持する候補とは別の候補を推す事例は各地で見られている。アイオワ州知事選挙の共和党の予備選挙では、トランプが支持を表明した現職に、草の根MAGA派が推す農家出身の候補が勝っている。自分が作り出したキャッチフレーズであるMAGAを名乗りながら、もはや自分のコントロールが行きわたらないことにトランプもいら立っているに違いない。
このMAGAの分裂は、中間選挙の結果にどのような影響をもたらすのだろうか。右派の著名な世論調査専門家であるリッチ・バリスは、インタビュー番組の中で、MAGAの分裂と、トランプ自身の求心力の低下のせいで、共和党にとっては「血の海」になると予言した。
