2026年10月29日(木)

トランプ2.0

2026年10月29日

 しかし、実際のトランプの政策や行動によって、一部のMAGA派が「裏切られた」と感じてMAGAからの離反を始めている。MAGAの人々は、見捨てられた地方の労働者の味方をしてくれると考えていたが、政権は富裕層や巨大資本を優遇し、物価高騰に苦しむ庶民の生活は改善しなかったばかりか、関税政策によって農家や中小企業が苦境に陥っている。また、海外への不毛な介入はしないと信じていた人々は、イラン戦争に幻滅した。

Leaving MAGA

 そうした中、一部のMAGA派の人々は、トランプが守ろうとしているのは、アメリカの価値観ではなく、自分自身の権力と自己保身であり、MAGAの存続は、嘘や陰謀論に依存していると考えるようになった。リッチ・ロジスのLeaving MAGA(MAGAから離れる)の動きが代表的である。

 ロジスは、もともと熱心なトランプ支持者で、2016年の選挙では、トランプ陣営のための電話勧誘用台本を執筆したり、保守系メディアでMAGAの代弁者として発言するなどしていた。それがコロナ禍におけるワクチン陰謀論や連邦議会議事堂襲撃事件などをきっかけに、MAGA系メディア以外も視聴するようになり、ついに22年にMAGA派を離れる決意をした。

Leaving MAGAサイトのトップページ

 ロジスは、MAGAが単なる政治理念ではなく、一種のカルト的なアイデンティティであるため、そこから離脱するのは困難であるとして、その名もLeaving MAGAという組織を立ち上げた。そのサイトの冒頭には、「私たちは、人々がMAGAを離れ、自らの体験を語れるよう支援しています。友人や家族との和解を促進しています。他の人々がMAGAを離れられるよう支援する運動のリーダーを育成しています」とロジスのメッセージが書かれている。これは、支援グループや交流会のネットワークであり、ロジスは離脱を決意した人が身を寄せる場を提供している側面を強調している。

Post-Trump MAGA

 一方、ロジスのように、MAGAから完全に離れるのとは異なり、「アメリカを再び偉大に」というMAGAの理念は維持しつつも、トランプ個人への支持を撤回している、Post-Trump MAGA(トランプ後のMAGA)とでもいうべき人々もいる。その人々はMAGAとはトランプ個人の主張ではなく、米国第一主義、労働者の復権、反グローバリズム、国境管理などの理念そのものであると考えるのである。

 このグループにも、トランプがMAGAを裏切ったという失望感が強く見られる。イラン戦争の長期化は、まさに米国第一主義というコアな公約に対する裏切りと捉えられているし、エプスタインファイルの扱いも、ディープステート(闇の支配層)との戦いを期待していた人々には裏切りと捉えられた。そして、トランプが自らの利益や大口献金者のために動いているという強い感覚はさらに裏切られたという感覚を強めている。


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