2026年11月6日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年11月6日

 彼は6月に帰国し、抗議活動を率いることになった。なお、彼は「ゴキブリ人民党」を正式の政党にはしておらず、若者主導の運動にとどまっている。

 上記の試験問題の漏洩に起因する抗議活動は、教育相の辞任に加えて、教育・試験の改革、抗議デモ参加者の不処罰、試験が無効とされた後に自殺した学生の家族に対する補償の約束を取り付けて、9月初めには終息したようであるが、その後に発生したのが、この社説が主題とする有権者名簿の改定の問題である。

 有権者名簿の改定は昨年来行われて来たものらしいが、透明性を欠いたプロセスだったらしい。不穏な空気が漂っていたが、9月にプロセスに不正をうかがわせる兆候があるとの一部報道を契機に「ゴキブリ人民党」の抗議活動が始まった。

 「クマールはインドに対する裏切り者だ」とディプケは言っている。野党の国民会議派も加勢している。

モディ政権はどうおさめるのか

 ムスリムを標的に名簿から排除するといった不正が行われた証拠はないとのことであるが、9億7000万とされるインドの有権者のうち、1億3000万人が削除されたとすれば、一体どういう改定作業が行われたのか誰しも疑問に思うであろう。長年何の問題もなく投票出来ていた人物が、どうやって自身がインド市民であることを証明すればいいのか困惑しているとの報道もある。

 モディ政権は、隣国バングラデシュやネパールで若者の抗議活動により政権が倒れたことをさほど気にしていないだろうが(上記の社説にその趣旨の言及があるが、インドの体制は余程強固である)、この問題の取り扱いは相当に厄介ではないかと思われる。

 去る5月の西ベンガル州議会選挙で「インド人民党」は294議席のうち208議席を獲得し、初めて同州を支配することになって大いに気勢を上げたが、この選挙の前に有権者名簿から270万人が削除されており、これが「インド人民党」の勝利に貢献したと指摘する向きがあるらしい。

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