実際にこれまで、対イラン作戦やウクライナ戦争関連でのトランプ発言は、目まぐるしく揺れ動いてきた。このため、自ら「儲かっている」と豪語する株取引においても、その都度「Truth Social」で明らかにされる政策発表と何らかの関係が全くないとは言い切れない。
取り締まり機関も「骨抜き」に
大統領のインサイダー取引疑惑についてはすでに、米上院のエリザベス・ウォーレン、アダム・シフ両民主党議員が去る今年7月、連邦証券取引委員会(SEC)のポール・アトキンス委員長宛に、「TMTG」の新たなビジネスについて「大統領としての職権乱用の疑いがある」として、直ちに調査するよう求める書簡を送った。
ウォーレン議員は上院銀行委員会、シフ議員は上院司法委員会でそれぞれ民主党側の重鎮として影響力もあるだけに、SECとしても何らかの対応を迫られることになる。
SECはかつて、ロッキード社の外国政府贈賄事件で、同社幹部らを喚問し徹底究明に乗り出すなど、商取引の客観的取り締り・監視機関として一定の存在感を示してきた。 ところが、トランプ二次政権発足後、大統領と親交を深めてきたポール・アトキンス氏が委員長に就任以来、事実上、“御用機関”と化したともっぱらの評判だ。
というのも、アトキンス氏は以前、SEC委員だった時代に社会的信用の低いIT企業に対する規制に反対し、自らも仮想通貨業界と深く関わってきたほか、ネット・メディアなどを通じ、政府関連監視機関を徹底攻撃してきた経歴があるからだ。さらに、同氏が委員長に抜擢された時期も、トランプ大統領が「World Liberty Financial」を通じた仮想通貨ビジネスに乗り出したのと軌を一にしている。
こうしたことから、仮に「SEC」が議会の圧力でトランプ氏の取引について調査に乗り出したとしても、結果的に骨抜きに終わる公算は大きいとみられている。
トランプ大統領は昨年就任以来、SECのみならず、不公正取引を取り締まる連邦公正取引委員会、労働者の権利を保護する全米労働関係委員会など、20以上の政府機関の委員長、委員人事についても、強権をふるい、一族のビジネスや支持派の企業活動に対する規制を露骨に撤廃させてきた。
このうち、連邦公正取引委員会関係では、途中解雇された委員の一人が違法性を訴え法廷闘争中だったが、トランプ支持派が多数を占める連邦最高裁が去る7月、「解雇は大統領権限の乱用に当たらない」との最終判断を示し、委員の訴えを棄却したことが大きく報道されたばかりだ。
今回の最高裁高裁判断について、半導体メーカーインテル元監査役で司法省高官も務めたダグラス・メラミード氏は、「ニューヨーク・タイムズ」紙とのインタビューで以下のように語っている:
「バイデン前政権下では、各規制機関が国有地における石油掘削の制限や、ソフトウェア開発会社『アドビ』とライブエンタテーメント会社『ライブ・ネイション』との不公正取引に待ったをかけるなど、存在感を示してきた。しかし、トランプ第二次政権発足以来、トップに立つ人物たちは、次々にこうした決定を覆し、大統領に忠誠を示してきた。最高裁判定でさらに、大統領はどんな事業においてもフリーハンドを得たことになり、その暴走に歯止めがかけられなくなってきている」
