2026年9月13日(日)

Wedge REPORT

2026年9月13日

 沖縄県知事選が13日、投開票を迎える。現職と新人6人が立候補し、支持拡大を図った。

 これまでの知事選では、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡る論戦が大きな争点となっていたものの、今回は目立っていない。沖縄の課題は「基地問題」だけでなく、産業構造や貧困などいくつもある。

 沖縄の課題を追った記事6選を紹介する。

(Sean Pavone/gettyimages)

【元沖縄県知事・稲嶺惠一氏と読売新聞編集委員・飯塚恵子氏が語る】沖縄が向き合う「二つの和解」 揺れる世界は日米同盟を要に(2026年3月24日)

<観光依存を脱却できるか!?> 本土とは異なる高付加価値産業の芽が出始めた沖縄経済の新たな挑戦(2025年6月30日)

児童虐待、予期せぬ妊娠…本土とは異なる沖縄の「貧困」 社会全体で若年ママへの支援を(2025年7月4日)

〈ルポ・日本最西端の地「与那国島」〉島民たちに聞いた「国境の島で生きる」ことの意味とは?(2026年3月27日)

「長寿国・沖縄」という神話はなぜ崩れてきたのか?戦後80年、沖縄県の人口構造から見える社会課題(2025年7月16日)

沖縄との和解は国家の使命 新たな日米関係で対中抑止を(2025年9月4日)

【元沖縄県知事・稲嶺惠一氏と読売新聞編集委員・飯塚恵子氏が語る】沖縄が向き合う「二つの和解」 揺れる世界は日米同盟を要に

2000年7月22日、九州・沖縄サミットのメイン会場「万国津梁館」で記念写真に納まる各国首脳。沖縄県民に誇りをもたらす契機となった(REUTERS/AFLO)

 小社から昨年8月に刊行した『苦悩の島・沖縄 二つの和解』──。その刊行記念トークイベントが2月14日、沖縄県那覇市のジュンク堂書店那覇店で開催された。

 著者は第5代沖縄県知事の稲嶺惠一氏と読売新聞編集委員の飯塚恵子氏。飯塚氏は1998年から2年間、那覇に駐在し、稲嶺県政下において九州・沖縄サミットを取材した経験を持つ。本書は、読売新聞全国版で、2024年5月22日から7月8日までの計32回連載され、稲嶺氏の半生を記録した回顧録「時代の証言者─苦悩の島 和を求めて」を全面加筆するとともに、戦後80年を迎えるにあたり、沖縄が抱えてきた苦悩とわだかまりについて、本土の視点から飯塚氏の考えをまとめたもので、二部構成からなる。

 トークイベントでは、本書に込めた両氏の思いや沖縄サミットの舞台裏、昨今の沖縄をめぐる諸情勢、沖縄とアメリカ、そして沖縄と本土の「二つの和解」をどのように進めていくべきかを語り合ってもらった……

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<観光依存を脱却できるか!?> 本土とは異なる高付加価値産業の芽が出始めた沖縄経済の新たな挑戦

観光業がけん引する形で沖縄経済は拡大基調が続くが、課題も多い(MAKOTO YAMAMOTO/AFLO)

 観光業依存をいかにして低減させるか──。これは、沖縄経済の長年の悩みの種だ。

 沖縄県は第二次産業である製造業が少なく、県内総生産に占める割合は、全国平均20.9%に対し、沖縄は4.3%だ(2021年度)。この要因には、島嶼経済特有の輸送コストの高さや市場規模が本土に比べて小さいことなどが挙げられる。

 また、観光などの第三次産業は労働集約的な性質があり、製造業に比べ生産性や付加価値は低くなりがちだ。県民所得は全国平均の約7割で、最下位が続いている。

 これらの背景には、〝沖縄特有〟の事情もある。日本復帰以降、沖縄県には本土との格差是正のための基盤整備を目標とした10年ごとの沖縄振興計画が策定され、近年では、毎年2500億~3500億円の沖縄振興予算が計上されている……

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児童虐待、予期せぬ妊娠…本土とは異なる沖縄の「貧困」 社会全体で若年ママへの支援を

観光客で賑わう沖縄の街の陰で、経済的な困窮を抱えた若年ママと子どもたちがいる(GEN UMEKITA/GETTYIMAGES)

 「リーマンショック以降、本土で報じられる子どもの貧困は、『学校の給食費が払えない』『授業料が払えない』というものだった。もちろん、深刻な課題だが、私が見てきた沖縄の『貧困』の中身とは大きく異なり、率直に言って、驚いてしまったことを今でも覚えている」

 おきなわ子ども未来ネットワーク代表理事の山内優子氏はこう語る。山内氏は、沖縄県庁入庁後、児童相談所や婦人相談所などに30年間身を置いてきた福祉の第一人者だ。

 沖縄と本土はどう異なるのか。

 「沖縄の場合、望まない妊娠や予期せぬ妊娠で、貧困の『負の連鎖』が断ち切れない状況が続いている。児童虐待も多い。中には、20歳にして2人の子どもを出産して困窮するケースや、実家で過ごす部屋もなく、段ボールで囲いをつくった玄関前のスペースに寝泊まりするケースもあった。

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〈ルポ・日本最西端の地「与那国島」〉島民たちに聞いた「国境の島で生きる」ことの意味とは?

 「島の誇り? そりゃ、この大自然だよ」

 東経122度、太陽が日本で最後に沈みゆく沖縄県与那国島は日本最西端の「国境の島」である。

 与那国空港から車で約20分の場所にある「日本最西端の碑」。

 そこから台湾までの距離は111キロ・メートルである。小誌取材班が訪れたのは2月中旬のこと。2日間の滞在中、台湾の姿は捉えられなかったが、空気が澄んだ日には東海岸の宜蘭県や花蓮県方面の山々を肉眼で見ることができるという。

 冒頭の言葉は、初日の夜、飲食店で出会った新嵩喜八郎さんのものだ。新嵩さんは長年、地元の観光協会会長を務め、「与那国島海底遺跡」を発見したレジェンドだ。

 翌朝、取材を進めながら島内を1周すると、新嵩さんの言葉の意味が心底理解できた。地面から力強く茂る亜熱帯植物、一面に広がるサトウキビ畑、道端ではヤギがのんびりと草を食み、たてがみの美しい与那国馬が悠然と道路を横断する──。

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「長寿国・沖縄」という神話はなぜ崩れてきたのか?戦後80年、沖縄県の人口構造から見える社会課題

(cf2/gettyimages)

 先の大戦の終戦から80年を迎え、今年6月に行われた「沖縄全戦没者追悼式」において石破茂首相は沖縄県民が被った戦災の大きさに言及しつつ「平和で豊かな沖縄の実現に向けて力を尽くすことは、国家の重要な責務であります」と述べている。また、それに先立つ5月には「自民党沖縄振興調査会」においては、沖縄は「一人当たりの県民所得や子供の貧困等解決するべき問題が山積み」であるとして国家戦略として沖縄振興に取り組むべきであると提言している。

 このように、沖縄社会の発展と改善は日本にとって重要な政策的課題であるとされている。そこで、今回は戦後80年を経るうちに変化した沖縄県の社会を人口構造の面から見てゆくこととしよう。

 日本で、一番高齢化の進んだ地方は東北地方である。直近の2024年10月1日時点での「推計人口」(総務省)によれば、日本で高齢化率(65歳以上人口÷全人口)の高いベスト5は、秋田県、高知県、岩手県、徳島県、山形県となる。実に5県中3県が東北地方で占められている……

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沖縄との和解は国家の使命 新たな日米関係で対中抑止を

2000年7月、クリントン米大統領と稲嶺恵一知事は沖縄県糸満市の「平和の礎」で並んで黙とうした(AP/AFLO)

 沖縄は、沖縄戦、戦後の米統治、大規模な米軍基地建設などを経験し、日本本土とは異なる歴史を歩んできた。このため、今もなお「本土」、そして「米国」との間で摩擦やわだかまりが残る。それぞれとの和解を深めることは、日本の国家としての使命であろう。

 戦後80年を迎えた沖縄は今、中国の覇権主義的行動の主要舞台の一つとなっており、二つの和解が進まなければ、中国がその間隙を突き、この地域の軍事的、政治的な安定を揺るがす懸念がある。

 中国軍の台湾周辺での活動は一段と活発化し、2025年5月下旬から6月にかけて、新たな警戒すべき事態が起きた。空母「遼寧」と「山東」の2隻が日本周辺の太平洋上に初めて同時展開したのである。

 この展開の意味について、7月18日付の読売新聞は1面トップ記事で、「米空母打撃群の迎撃を想定した演習」だったとする日本政府関係者の分析を報じた……

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