「リーマンショック以降、本土で報じられる子どもの貧困は、『学校の給食費が払えない』『授業料が払えない』というものだった。もちろん、深刻な課題だが、私が見てきた沖縄の『貧困』の中身とは大きく異なり、率直に言って、驚いてしまったことを今でも覚えている」
おきなわ子ども未来ネットワーク代表理事の山内優子氏はこう語る。山内氏は、沖縄県庁入庁後、児童相談所や婦人相談所などに30年間身を置いてきた福祉の第一人者だ。
沖縄と本土はどう異なるのか。
「沖縄の場合、望まない妊娠や予期せぬ妊娠で、貧困の『負の連鎖』が断ち切れない状況が続いている。児童虐待も多い。中には、20歳にして2人の子どもを出産して困窮するケースや、実家で過ごす部屋もなく、段ボールで囲いをつくった玄関前のスペースに寝泊まりするケースもあった。
母子ともに置かれている環境は極めて厳しい」と山内氏は言う。