2026年9月15日(火)

トランプ2.0

2026年9月15日

 大統領の権勢はこうした規制当局のみならず、捜査機関にも及んでいる。その最たる例は、刑事捜査の最高機関である連邦捜査局(FBI)の動きに見られる。

 FBIは、トランプ関連会社の役員も務めた弁護士のキャッシュ・パテル氏が長官に任命されて以来、トランプ政権批判のメディアや野党政治家の摘発に積極的に乗り出す一方、疑惑がもたれる大統領関連ビジネスなどについては、今のところ何ら行動を起こしていない。

これまでの汚職や権力乱用とは異なる

 汚職や権力乱用など、大統領がらみの政治スキャンダルは無論、トランプ政権に限ったことではない。20世紀を振り返っても、主なものだけで、ウォーレン・ハーディング政権の用地売買で収賄に問われたティーポット・ドーム・スキャンダル(1921~24年)、ニクソン政権のウォーターゲート事件(72~74年)、レーガン政権の武器取引をめぐるイラン・コントラ事件(85~87年)、クリントン政権のモニカ・ルインスキー・セックス・スキャンダル(95~99年)などが挙げられる。そしてそのたびに、メディアでハチの巣をつついた騒ぎとなった。

 しかし、それらの腐敗に関連して「クレプトクラシー」という活字の見出しが紙面を賑わしたことは過去、一度もない。なぜなら、いずれも単発の事件であり、政治の中に体系的に組み込まれた根深いものではなかったからだ。

 その意味で、特に今年に入り、多くの米メディアが関心を持ち始めたトランプ政権の“泥棒政治”ぶりは、きわめて特異で露骨と言わざるを得ないだろう。

 なお、トランプ大統領は去る9日、テキサス州ダラスで臨時に開催された共和党全国大会の演説で、「中間選挙の連邦上下両院で共和党が勝利すれば、全米の成人に一人当たり5000ドルの配当を支給する」と言明した。これはまさに、国民の税金による有権者買収を意図した“収奪政治”にほかならない。

 11月中間選挙は、良識ある国民にとって、“泥棒政治”と“収奪政治”にまみれた現大統領の暴走を止める唯一、最後のチャンスとなるのは間違いない。

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