2025年12月5日(金)

商いのレッスン

2025年11月13日

◆今日のお悩み
組織が大きくなるほど、挑戦する勇気が薄れます。経営の現場では「もう十分」「いまのままでいい」という安定志向が強くなりがちです。しかし、社会の変化は待ってくれません。安定を守りながら進化を続ける――そんな企業は、いったいどのようにして成長しているのでしょうか。
「変わらないために、変わり続ける」スーパー・ヤオコー(PRTIMESより、以下同)

 午前10時。埼玉県のあるスーパーの惣菜売場では、湯気の立つ炊き込みご飯を前に、スタッフたちが味の微調整について意見を交わしている。「昨日より、もう少しおいしく」という一言が、この企業の文化を物語っている。

 ヤオコー(現・ブルーゾーンホールディングス)は、2025年3月期まで単体ベースで36期連続で増収増益を達成した。連結営業収益は7364億円(前期比+18.9%)、営業利益334億円、経常利益326億円、純利益201億円。人口減少や物価高、人手不足という逆風の中でも堅実に伸び続けている。

 その原動力は、「変わらないために、変わり続ける」経営哲学にある。変化の激しい時代に、理念を守るためには常に進化が求められる。つまり、安定とは動き続けることなのだ。

 同社の川野幸夫会長はこう語る。「安定しているように見える会社ほど、実は変化を積み重ねている。昨日より良い今日をつくる努力が、やがて大きな安定になる」

 売場を見れば、その意味がわかる。ヤオコーは25年3月末現在で195店舗、1都6県(埼玉・千葉・群馬・東京・神奈川・茨城・栃木)に展開。地域ごとに異なる嗜好を読み取り、品揃えや惣菜を最適化する。

 全店共通の“正解”を押しつけるのではなく、現場が考える自由を大切にしている。こうした地道な改善が、他社の追随を許さない成長の基盤を築いてきた。


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