トモは毎朝、市場で仕入れをし、顧客の声を聞き、売場を自ら整えた。「現場にこそ真実がある」という信念を貫き、改良を重ねた。この精神は、現会長・川野幸夫を通じて今も生きている。
惣菜やベーカリー、生鮮部門では、ヒット商品が出ても“完成”とは考えない。味付けや盛り付け、パッケージ、価格、接客――どれも改善対象である。「昨日より良く」を続ける文化が、ヤオコーを「進化し続けるスーパー」にしている。
川野会長はこう語る。「母の教えを継いで、私たちは“未完成の企業”であり続けたい。完成したと思った瞬間に退化が始まるからです」。この“未完成の誇り”こそ、ヤオコーの企業文化の象徴である。
安定とは「変化に対応し続ける力」
ヤオコーの実践は、どの業界のリーダーにも通じる。
第一に、安定を守るために、安定の定義を変えること。安定とは「変化に対応し続ける力」である。動き続ける企業だけが、社会の変化に取り残されない。
第二に、理念を言葉ではなく行動にすること。理念は壁に掲げるものではなく、仕入れ・接客・商品開発・人材育成、あらゆる判断の軸として機能させることが大切だ。
第三に、小さな改良を制度化すること。一気の改革ではなく、現場の一工夫を日常にする。「昨日より良く」「もう一工夫」を続ける企業が、10年後に圧倒的な差を生む。
あなたの職場にも、“まあまあ”で終わらせていることがないだろうか。その一言の裏にある「まだまだ」を拾い上げよう。それが、変化を恐れず成長を続ける組織への第一歩である。
安定とは
変化を続ける勇気のこと
「まあまあ」に満足せず
「まだまだ」を楽しもう
変化を続ける勇気のこと
「まあまあ」に満足せず
「まだまだ」を楽しもう
