2025年12月5日(金)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2025年8月5日

 ここ数年の夏の暑さはとりわけ異常である。今年は北海道でも連日猛暑日を記録するなど、温暖化は異次元の領域に進んでいるとも言える。

(bksrus/gettyimages)

 温暖化は当然海にも影響を及ぼしているが、なかでも日本は世界の中でもその程度が大きい。気象庁によると、日本近海における2024年までの海面水温の上昇率は100年あたり1.33℃の割合で、世界全体平均の100年あたり0.62℃の倍以上、日本海中部に至っては100年あたり2.01℃と、世界平均の3倍以上だ。

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最新の第6次評価報告書で示された図によると、温室効果ガスの高排出が続くというシナリオの下では、日本の周辺の海域で海の動物の資源量が今世紀末に20~30%台の減少を示す朱色で塗られている。これは、高排出シナリオ下の世界全体海洋動物資源量減少率の約15%より大きい。IPCCの『海洋・雪氷圏特別報告書』によると、日本周辺の海域は、低緯度域ほどではないものの、相当程度の漁獲量の減少が予想されている。

 こうしたなか、過日閣議決定された最新の『令和6年度水産白書』も、巻頭で「海洋環境の変化による水産業への影響と対応」という特集記事が組み、これが全文306ページのうちの50ページ以上を占めている。

 そこではサンマ、スルメイカ、サケ、サバなどの資源が環境の変化によって減少していると述べられるとともに、専ら「獲るものを変える」というアプローチが強調されている。すなわち対応策として挙げられているのは、サンマ漁船でイワシを漁獲する取り組み、スルメイカを対象としていたイカ釣り漁船でアカイカを獲る取り組み、サケが取れなくなった漁業者のサーモン養殖への取り組み、低利用資源の利用促進、等々である。

 しかし、単に「獲るものを変える」というアプローチのみでは、取り組みとしては十分ではない。新たに獲れるようになった魚を次々に獲ってしまえば、その魚も減ってしまう。そうなってしまえば、何も獲るものがなくなってしまうからである。


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